マジでテンペスト(嵐)


台風の後のナンタ浜


ごおおおおおおお

3日目の朝、ものすごい風の音と蒸し暑さで目が覚めた。
台風は予想通りだとしても、エアコンはピッキーが消したのかな?
そう思いながらエアコンのスイッチを「オン」にするが・・・あれれ、つかない。

そこで昨夜の女将の言葉を思い出した。
女将さん:そうだ、もしかしたら今夜は停電するかも。
そっか、停電してるのかな

半分寝ぼけた頭で、まずはトイレと顔を洗いに行こうとトイレと川口浩(ヘッドランプ)を持って部屋を出た。
ドアを開けて外に出ると・・・人影!?

宿泊客のお姉さん:おはようございます。
Pi-子隊長:わぁ、びっくりした。おはようございます。こんなところで何やってるんですか?
宿泊客のお姉さん:ふふふ、台風見物よぉ。ここからよく見えるの。

ピッキー&Pi-子の部屋は1Fのフロント横にあり、椅子が2つ並んでいて、玄関の様子がよく見えたのです。

宿泊客のお姉さん:というのは冗談で、部屋の中、蒸し暑いんだもん。ここの方がまだ涼しい。
Pi-子隊長:確かにそうですよね。

でも薄暗い中に(電気がつかないから)人がいたのには驚いて、おかげさまで目が覚めた。

Pi-子:昨夜、女将さんが「正面は閉めちゃうから」って言った時はシャッターでも閉めるのかと思ってたけど ・・・こうゆうことだったんですね。
玄関は紐でぐるぐる巻きに縛られていた。


生活の知恵?
なるほど・・・

宿泊客のお姉さん:板も何の為のものなんだろうと思ったけど、ドアが開かないようにする為だったのね。慣れてるわねぇ。
なるほどそうゆうことか。
猛烈な雨と風で若干吹き込んでいるもの、これがなければもっと被害がすごかったことだろう。

女将さん:おはようございます。昨日はよく眠れた?
宿泊客のお姉さん:ん〜、あんまり。
Pi-子:ちょっと風の音がうるさかったけど、まぁ、ぐっすり。
ピッキー:オレもあんまり。

いつの間にか起きていたピッキー

女将さん:電気がつかないから、朝食の準備が遅れてるけど、8時からは食べられるようにしますから。ピッキー&Pi-子さんは8時半に空港に行くのよね?
Pi-子:そうなんです。すみませんが、よろしくお願いします。


ほどなくして、朝食が出来上がったので、食べ終わると空港に向かった。

台風はピークは過ぎたようだが、まだまだ風はすごい勢いだ。
Pi-子:すみませんねぇ、こんな天気の日に。
従業員B:いえいえ、飛行機飛ぶといいですね。
ピッキー:天気はともかく、停電だから発券とかできるのかどうかが心配ですよ。台風の時はいつもこんな感じなんですか?
従業員B:ボク、ここで働き始めて1ヶ月なんでよく分からないですけど、みんな慣れているみたいですね。 インフラが整ってないんじゃないですかね。

まぁ、文字通り日本の端っこだし・・・

宿からは車で10分で到着・・・したが、あれあれ?
空港はまだシャッターが下りていて、オープンしてないんですけど!?

Pi-子:・・・どうしようか?外で待つ?
ピッキー:まぁ、まだ9時前だからな。でもシャッターも開いてないよ。
従業員B:あ、待ってますから、車の中にいていいですよ。
Pi-子:ありがとうございます・・・ところでBさん、どちらから来てるんですか?
従業員B:名古屋なんですよ。
ピッキー:えっ、名古屋から?バイトしながらダイビングとか、サーフィンとかやりたくて、ですか?
従業員B:そうゆう人多いんですけど、ボクはマリンスポーツやらないんです。
Pi-子:じゃあどうしてこんな遠くに?
従業員B:将来、この島で民宿経営とかしたいな〜と思って。でも台風だの、停電だのがあると考えちゃいますね。(笑)

従業員Bさんと話ながら待っていると、9時を回ったところで、職員らしき人が2人やってきた。
Pi-子:とても発券できる状態じゃなさそうだけど・・・とりあえず聞いてみようか。
ピッキー:オレ、聞いてくるよ。


空港の職員と思われるおいちゃんと話すこと数分、車に戻ってきたピッキー

Pi-子:どうだった?
ピッキー:台風の影響らしいんだけど、空港で警報が鳴ったので職員は待機状態なんだって。いずれにしても 停電もまだ復旧してなくて整理券を発券できる状態じゃないから出直しだね。
Pi-子:空港の中で待てないの?
ピッキー:今、空港の中も当然ながらエアコンも何もつけられないから、暑くていられる状態じゃないって。
Pi-子:・・・ホテルの方で待機させてもらっていいですか?食堂でも、ロビーでもいいですから。
従業員B:いい・・・と思いますよ。女将さんに聞いてみます。


さっそくホテルに電話をする従業員の青年B。
従業員B:空港も停電でまだ開いてないんですよ・・・はい、あ、分かりました。
Pi-子:どうでした?
従業員B:お部屋の方で待機いただいて構わないそうです。ひとまず戻りましょう。
Pi-子:ありがとうございます。



ip●oneで検索
そんなわけで、もう一度宿へ出戻り。
Pi-子:いやいや、しかし空港もいいかげんだよね。早く来いって言っておいて、開いてないんだもん。
ピッキー:台風はともかく、停電で警報まで鳴ったっていうんだからしょうがないんじゃないか。
Pi-子:まぁねぇ。さて、どうやって時間つぶそうかな。パソコンは持ってきたけどネットが入らないからね。
ピッキー:オレのip●oneは繋がったよ。すげ〜、コレ見ろよ。
(右図参照)全国で台風の被害に遭ってるのはこの辺だけなんだってことがよく分かるぞ。
Pi-子:なんつ〜かねぇ、わざわざ台風に遭いに来たって感じ?
ピッキー:そうかな?オレは吸い寄せられているような気がするけど。
Pi-子:何にだよ!?


台風情報でも放送してないかとTVをつけたが、沖縄本島にもあまり影響はないせいか沖縄TVでもやってない。
それどころか・・・
Pi-子:今日の特集は「銀座三越リニューアルオープン」だって。
(このとき、ちょうど銀座三越が新装開店したばかりでした)
Pi-子:与那国で銀座三越のお店なんかとりあげられたってねぇ。
ピッキー:沖縄TVだけど、○ジTVの番組をそのまま放送しているんだよ。
Pi-子:ここで"お近くの三越"って言ったら東京よりも台北三越でしょ。
ピッキー:距離的に言えばそうだけど、直行便ないし、言語も通貨も違うじゃん。

Pi-子:そりゃそうだけどさ。・・・あ、11時かぁ。そろそろ空港職員来てるかな?電話してみよう。
ピッキー:11時10分には飛行機が飛ぶはずだったんだけどな。
Pi-子:もしもし、今日の午前便に乗る予定だったんですが、午後の便への振り替えは可能でしょうか?9時に空港まで行ったのですが、停電で整理券の発行もしてもらえなかったので確認したいのですが。
空港職員:たいへん申し訳ありませんでした。午前中は「空席待ち整理券」の発行ができませんでしたのでお手持ちの航空券で大丈夫です。 しかしながら16:10発の飛行機はまだ運航するかはまだ決定されておりません。・・・正午ごろには決定すると思うのですが。
Pi-子:分かりました。またお昼に電話します。

ピッキー:なんだって?
Pi-子:午後の便はまだ運行するか決まってないって。お昼になったらまた電話しなきゃ。
ピッキー:外の様子見と気分転換を兼ねて散歩にでも行かないか?
Pi-子:そうだね。雨は上がったみたいだし、風もずいぶんマイルドになってきたっぽい。


部屋をでたところで、再び宿泊客のお姉さんと遭遇。
Pi-子:こんにちは、外に行ってきたんですか?
宿泊客のお姉さん:ちょっと海まで行ってきたんだけど、気持ちよかったわよ〜。

海いいねぇ。
結局、海底遺跡へもいけなかったし、出発前に与那国の海を見ていきますか。

「ホテル入舟」から海までは歩いてほんの数分。
外に出て、まず目に入ったのは地面の上に転がるパラボラアンテナだった。
Pi-子:う〜ん、さすがにこの風で飛ばされちゃったんだね。
ピッキー:外しておけばよかったのにな。


歩くこと数m、今度は小型の洗濯機が路上に転がっているのを発見!!
Pi-子:・・・洗濯機?
ピッキー:一人暮らし用の小さい洗濯機なんだけど、こんなモンも飛んでくるとは恐ろしいな。

初日にレンタカー屋のおやじに「東京の台風はそよ風」って言われたのも、なんか納得。


洗濯機!?
パラボラアンテナがこんなところに

数々の障害物(?)を超えてナンタ浜に到着。
・・・その前に
Pi-子:む、穴らしい場所があるぞ、行ってみないか?
ピッキー:え〜・・・別にいいけど。

ナンタ浜の近くに洞窟?・・・っぽい穴を発見してしまった。
洞窟マニアの血が騒ぐというもの!?

ややっ、洞窟発見!あれれ、これだけなんですね

Pi-子:場所的にも海食洞だね。
海食(蝕)洞とは波などの侵食によって形成された洞窟のことです。

中に入ってみるが、奥行3〜4mぐらいの小さな穴でした。
なんだ以外と狭いんだな。
ピッキー:何かあった?
Pi-子:特には・・・小さな穴だし。入ってこないの?
ピッキー:めんどくさいからいいや。金銀財宝、徳川埋蔵金、M資金等があったら教えて。

あっても教えるか!!

少なくとも徳川埋蔵金、M資金(戦後GHQが占領下で接収した財産などを秘密裏に売却して作られたという秘密資金)は与那国にはないんじゃないかな・・・

洞窟の中でカニ一匹を発見したところで撤収し、ナンタ浜へ。
台風が過ぎ去った直後だから、もっと濁っているかと思ったけど、いやいやコバルトブルーできれいな海です。
ナンタ浜は漢字で書くと「波多浜」
かつては文字通り波の荒い場所だったそうですが、現在は整備され、遠浅のビーチになってい ています。

ピッキー:サンダル脱いで素足の方が気持ちいいぞ。
Pi-子:そう?

うん、確かに気持ちのいい砂浜だね。
まだ台風の影響が残っていて風が強いので本当に「波多浜」だけれども、もっと天気がよくて波がおだやかな日は海水浴もいいだろうな〜。
問題は水中用戦闘服(くどいようだが俗名:水着)だけどさ。

ピッキー:あああっ!!
Pi-子:何?
ピッキー:オレのサンダルが流されてる!!

気がつくとピッキーのサンダルの片方が沖の方へ長されていた。

ざぶざぶざぶ
ピッキーがズボンの裾をたくし上げて海に入っていくが、サンダルはそんなもんじゃ取れないところまで行ってしまっていた。
Pi-子:そんなに高価なサンダルでもないんだし、あきらめたら?波も速いから危ないよ。
ピッキー:両方流されたのならあきらめがつくけど、片方だけなんて中途半端だな。
Pi-子:数ヶ月したらうちの方(千葉)まで流れてくるかもよ。
ピッキー:・・・いや、もういい。


台風の後でも美しい海サンダルよ、さらば!

風(波)と共にサンダル(片方)が去っていったところで宿へ撤収。
そうこうしているうちに時間は正午12:00を過ぎていたので、もう一度空港へ電話してみることにした。
Pi-子:もしもし、今日の午後の便は運行しますか?
空港職員:はい、今のところ16:10の便は運行の予定です。
Pi-子:まだ風が強いみたいですけど、大丈夫ですか?
空港職員:風はあるんですけど、飛行機の発着に影響しない風向きなので大丈夫だと思います。

なるほどね〜、風向きが重要なのね。
お礼を言って電話を切った。

再びだらだら過ごして約2時間後

Pi-子:すみませんねぇ、何度も車出していただいて。
従業員B:いいえ。今度こそ飛ぶといいですね。

従業員B氏に車を出してもらって再び空港までやってきた。

ピッキー:チェックインカウンターもオープンしてるし、飛びそうだな。
Pi-子:じゃあ、民宿経営の夢に向かってがんばってくださいね。
従業員B:ありがとうございます。もし、飛行機、ダメだったらお電話ください。

何気に不吉なことを言うな。

手荷物を預け、チェックインを済ませ、あとは飛行機の到着を待つだけ。
というのも、与那国空港に常時飛行機があるわけではなく、那覇から飛行機が飛んできて、それが石垣まで行くということになっているのです。

ピッキー:しっかし、ローカルな空港だよね。手荷物検査のおっちゃん&おばさんたちは日焼けしていて、 どうみても農業か漁業の片手間に空港の仕事してるって感じ。
Pi-子:実際、そうなんじゃないの?1日1〜2便しかないんだから、常時待機していることもないでしょ。

ブロロロロロロ

プロペラ音が聞こえてきた。
いよいよ飛行機到着か。
カメラを構えて飛行機の着陸する瞬間をとらえようと待つピッキー。

・・・が、しかし、待てど暮らせど飛行機はやって来ない。
プロペラ音は聞こえたんだけどなー

ぴんぽんぱんぽ〜ん
空港職員:石垣行き16時10発806便は天候不良のため、着陸できず、上空で待機しております。万が一着陸できなかった場合は欠航となりますのでご了承ください。


Pi-子:なんてこったい、ここまで来て。
ピッキー:風向きは大丈夫だったんじゃないのか?
Pi-子:昼に電話した時にはそう言ってたんだよ。


ぴんぽんぱんぽ〜ん
空港職員:誠に申し訳ありませんが、急に風向きが変わりまして飛行機は着陸不可となり、那覇へ戻ることになりました。 当空港には飛行機がありませんので、石垣行き16時10発806便は欠航とさせていただきます。

ピッキー:なんで急に風向きが変わるんだろうなぁ・・・(泣)
Pi-子:本当だよねぇ・・・なんでいつも天候に恵まれないんだろうねぇ。(泣)


"欠航"の文字が虚しい空席待ち整理券と航空券

チェックインカウンターで「空席待ち整理券」と手荷物を受け取ると再び「入船」に電話をした。
従業員B:ホテル「入船」です。
Pi-子:あ、もしもし、やっぱり飛行機飛ばなくなったので、もう一度空港へ迎えに来ていただいてもいいですか?
従業員B:はい、今すぐ行きま〜す!
あんまり嬉しそうに言うな!
(複雑だ)

こうして与那国もう一泊にすることになった我々。

女将さん:おかえりなさい。今日は散々だったわね。
Pi-子:はぁ、もう一泊お世話になります。
女将さん:夕飯食べるでしょ?用意しておくから。今日はビール一杯おごるわよ。
ピッキー:あ・・・ありがとうございます。


女将さんにビールをおごってもらって、部屋に帰ると早めに就寝。
今日は一日何もしてないけど、一番疲れたな。

(Pi-子)