天岩戸神社 西本宮
翌朝、外を見ると一面の霧。
こなつ:すごい霧。
Pi-子:盆地だから秋には雲海が発生することがあるとは聞いてたけど、7月にこんな霧が出てくるとは思わなかった。
ピッキー:…これ、山の上に行ったら雲海に見えたりしないかな?
Pi-子:え〜、いや、どうだろ。高台にある「国見ヶ丘」は秋になると雲海が見える名所らしいけど。
ピッキー:国見ヶ丘?(Googleで検索)車でいけば15分ぐらいだから行ってみるか。

そんなにきれいな雲海が見えるもんかな、と半信半疑だが、運転手のピッキー行く気MAX!なので霧の中さっそく出発!

駄菓子菓子(だが、しかし)そんなにうまく雲海が見えるわけもなく・・・

真っ白う〜ん、幻想的・・・?

こなつ:真っ白
Pi-子:高台だから雲海見えなくても、高千穂の街が一望できる展望スポットなんだが・・・何も見えないね。
ああ、脳裏には竹田城の雲海トラウマが…(兵庫編 参照)
またしても心の眼で見るか、画像を加工するしかないということか。

雲海の正体は霧、でも霧が出てるから雲海になるというワケでもなく、夏の気温が高い時には霧が低い位置に留まってくれず、雲状の「雲海」にはなってくれないんですねぇ。(ちなみに現在7月)
もっと気温が下がった秋、10〜11月頃にならないと雲海は拝めないということです。
まぁ、気温だけじゃなくて、他にも、大気中に十分な水分がある(雨)、深夜から早朝にかけて放射冷却が起こるほどの急激な冷え込み、風がないこと…などなど、いろいろ気象条件がありますので、見えたらラッキー!ということで。

ピッキー:雲海、なかなか見えないな。
Pi-子:富士山で見られたからよかったじゃん。富士登山編 参照)

国見ヶ丘は、雲海の名所というだけにあらず、神話の世界の舞台にもなっており、神武天皇の孫である建盤竜命(たていわたつのみこと)が、この丘の上から”国見”をしたとの伝説があります。 だから「国見ヶ丘」なんですね。
伝説のとおり、眼下には高千穂の里が広がっている…はず。(真っ白で何も見えない)

この像は?神様が地上に降り立った時もこんな霧だったんだろうか?

Pi-子:(上の像を見ながら)建盤竜命(たていわたつのみこと)の像かね?両側にいえるのは助さん、格さん?
こなつ:そしたら、真ん中にいるのは黄門様でしょ!(笑)説明書きを見ると「天孫降臨の像」って書いてあるよ。
Pi-子:天孫降臨って、場所違くない?まぁ、正確なことなんて分からないけど。

説明しよう! 「天孫降臨(てんそんこうりん)」というのは日本神話において、天照大御神(あまてらすおおみかみ、以下「アマテラス」)の孫である瓊々杵尊(ににぎのみこと、以下「ニニギ」)が葦原の中つ国を治めるために高天原から日向国の高千穂峰へ天降(あまくだ)ったこと。

ニニギが地上に降り立った時、あたりは夜や昼の区別もつかないほど霧が深く(今も霧が深いけど、昼夜の区別もつかないってどんだけだ?)立ち往生していたところに、 地元の豪族「大鉗(おおくわ)・小鉗(おくわ)」が現れ、「尊(みこと)の御手を以ちて、稲千穂を抜きて籾となし、四方に投げ散らしたまはば必ず開晴りなむ(尊がお持ちの稲穂からとったモミを、四方にまけば、きっと辺りは晴れるでしょう)」と進言する…この像はそのワンシーンということか。
この像があるところは一段高くなっているんだけど、周囲に木があるので眺望はイマイチ。

霧が晴れるのを待つ・・・が、一向にその兆しは見えず…
ピッキー:このまま帰っても朝食まではまだ時間があるから、朝の真名井の滝を見に行きたいな。
Pi-子:いいね、昨日は夜だったからね、朝はまたちょっと違って見えるかも。

朝の真名井の滝
 
昼間はボートが多数行き交って
いるけど、朝はこんなに静か

学生:おはようございます!

昨日から泊まっている合宿の中学生。
朝から元気な挨拶をしてくれて気持ちがいい、日本の未来も明るいね。

ちょうど朝食が用意されていたので、食堂で朝食をいただき、部屋に帰ると学生さんたちはすでに出発していた。
いくつかドアが開いている部屋があったので、ふと中に目をやると…みんなきれいに布団畳んでるの!

こちらの宿では2泊(連泊)するし、「布団このままでいいんじゃ〜ん」なんて言ってたけど、恥ずかしくてちゃんと畳みましたよ。 (〃ノωノ)
やっぱり武道をやっていると礼儀正しくなるのかな。

このあとは天岩戸神社西本宮へ。
天岩戸神社…その名前の通り天岩戸伝説の地です。


天岩戸伝説

昔々、アマテラスは弟の素戔鳴尊(すさのおのみこと、以下「スサノオ」)の乱暴に腹を立て “天の岩屋(あまのいわや)” の入り口を大岩で閉ざし、中に籠ってしまいました。
日の神が隠れてしまったから、もう大変!
昼も夜も真っ暗闇になり、悪いことが次から次へと起こり始めました。

困った神さまたちは “天の安河原(あまのやすかわら)” に集まり相談をはじめました。
知恵の神、 天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)はある作戦を提案します。

「まず、夜が明けたと思わせるためにニワトリをいっせいに鳴かせ、さらに私たち(神々)が岩戸の前で歌ったり踊ったりして楽しそうにしていると、外の様子を不思議に思うでしょうから、その隙に(アマテラスを)外にひっぱり出すのです。」

さっそく神様たちは岩戸の前で宴会を始めました。
踊りがとても上手な神様、 天鈿女命(あめのうずめのみこと)が桶の上にのって舞を始めるとそれは大盛り上がり。
岩戸の中のアマテラスは何事が起きたのかと不審に思い、そ〜っと岩戸を開けると・・・

えいやぁ!!!

陰で待ち構えていた天手力男命(あまのたぢからおのみこと)が岩戸に手をかけ、渾身の力を込めて岩戸をこじ開け、アマテラスを引っ張り出したのでした。
天八意思兼命の作戦は大成功! (^_^)v

アマテラスが岩戸の外に出たことによって、世の中は以前のような明るさを取り戻し、禍いも収まりました。
一方スサノオはペナルティとして神々に貢ぎ物( みつぎもの)を出させ(財産没収?)、髪を切られ、手足の爪を抜かれ、高天原を追放されてしまったのでした。

アマテラス像手力男像


こなつ:アマテラスがこもった “天の岩屋” が御神体として祀られているんだけど、それを拝むのには前もって受付する必要があるみたいだよ。
Pi-子:へぇ、現存してるんだ。伝説は知ってたけど、それは知らなかった。
ピッキー:洞窟入るのか?河口浩(ヘッドランプ)宿に置いてきたぞ。
Pi-子:神聖なる御神体だからねぇ、入るのは無理じゃないかな。

天の岩屋の参拝申し込み受付は 8時半〜16時半 の間に行われており、案内の所要時間は約20分とのこと。
社務所で受付を済ませ、時間を指定されたので、その間境内を散策。


朝の境内は気持がいい
神社の皆さんご出勤



山門、この奥が拝殿
ご神木、招霊(おがたま)の木

時間になったので集合場所に行くと神官さんが現れ、天岩戸伝説(前述の通り)と参拝方法について語ってくれた。
神官:ご参拝がまだの方はこちらでお願いします。尚、こちらの建物は拝殿であり、本殿ではありません。
えっ、本殿だと思ってお参りしてた。

神官:いまからご覧いただきます「天岩屋戸」を御神体として御祀りしておりますので、「本殿」(御神体を納める建物)を持っていないのです。
なるほど、岩屋じゃ、建物に入らないしね。

全員参拝を済ませると、1人ずつ大幣(おおぬさ / お祓いするときに使用する紙簾付きのお祓い棒)でお祓いすると、拝殿の隅にある小さい方の扉を開けた。
天岩戸神社西本宮の拝殿、この向こう側に伝説の「天岩戸」が・・・
拝殿横の木戸をくぐり御神へ(この先、神域のため、撮影禁止!)


本殿ではなく拝殿
御神体の天岩戸の洞窟が拝める遥拝所へ
(この先撮影禁止!)

扉の奥は断崖絶壁。
・・・とはいえ、十分な幅の通路と柵があるので、怖くはありません。

川を挟んだ対岸がよく見えて、そちらもかなり鋭い崖...あれ、崖しか見えないけど、アマテラスが籠ったという穴はどこ?
神官: 正面に見える窪み、あちらが天岩戸でございます。
言われたら何となく窪んでいる箇所がありますが、言われないと「どこどこ」って感じ。

もう少し大きな穴だと思ってたんだけど。
しかも、あんな切り立った断崖の中腹にあるとは...
イメージ的には岩屋の前で神様たちがドンチャン騒ぎしたのかと思ったんだけど、そのスペースはなさそうだ。

もっとも長い年月の間、崖崩れなんかもあって、当時の姿は留めていない、とのことなので、昔は違ったのかもしれない。
前述の通り、ここ聖域のため写真撮影は禁止!・・・なのでご自身の目で見てみてください。

天の岩屋を見た後は少し歩いて天の安河原へ。
アマテラスが、岩屋に隠ったときに神様たちが集まった場所です。

数件並んでいるお土産屋さんやらお茶屋さんの脇の遊歩道を通り、坂道&階段を降りていくと、とても気持ちがいい木々ときれいな清流に出ます。
Pi-子:癒される〜
こなつ:癒しよりも浄められる感じ。浄化パワーがすごいかも。
こなつちゃん、あんまり浄化されると存在がなくなっちゃうかもしれないから注意したほうがいいよ。(^_^;

清々しい渓谷途中にある太鼓橋 ここもパワースポットらしい



仰慕窟(ぎょうぼがいわや)
さらに先に進む

進んでいくと、あちらこちらに積み上げられた石積みと「仰慕窟(ぎょうぼがいわや)」と呼ばれる洞窟が見えてきます。
この河原で石を積むと願いが叶うと言われているそうですが、人々の想いが重すぎて怖い!
なんていうか恐山っぽい感じというのかな?恐山は行ったことないから分からないけど。

石積みを崩さないように注意しながら仰慕窟の中へ。
窟の中には、「歌えや踊れや大宴会でアマテラスの引きこもりをやめさせよう!」計画を立てた知恵の神、天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)を主祭神とした八百萬神が祀られている天安河原宮があります。

石積みと奥に天安河原宮窟の中からの眺め


石積みを積んだ人々の願いなのか、神様の力なのかよく分からないけど、たぶんここはすごいパワースポット!
霊感とかそういったモノが全くないのでよいのか悪いのか、よく分かりませんが、神社マニアと洞窟マニア、そうでない方にもオススメです。

(Pi-子)