スリーシティーズ(Three Cities)

セーフヘブン公園から見たヴァレッタ
翌朝8:00頃起床。
昨日は到着が夜中だったのでよく見なかったのだが、部屋の外には専用のバルコニーがあり、眼下に大海原、上には青空が広がっている。
 |
海が呼んでるぜ・・・ |
ガラッ、バルコニーに出て海風に吹かれてみる。
言われた通り日本の3月ぐらいの気候なのだろう。少し肌寒い程度で風が心地よい。
初夏、天気のいい日はここで読書なども最高だろう。穏やかな波の音も心地よい。
Oh,this is a resort !
時差ぼけはあるが、シャワーを浴びるとだいぶ頭もすっきりしてきた。
あ、そういえばスリッパが見当たらないな。
ピッキー:Pi-子、スリッパ、どこにあるか分かる?
Pi-子:持ってこなかったらないよ。外国のホテルは浴衣とスリッパと歯ブラシはないよって言ったじゃん。
・・・言ったっけ?まぁいい。自由時間に買いに行くことにしよう。
着替えを済ませホテル内のレストラン「コンチキ」へ向かう。
朝はビュッフェスタイル。スェーデンでもそうだったがヨーロッパはパンとバターがおいしい。
Pi-子:チーズもおいしいよ、普段買ってるのと全然違う。騙されたと思って食べてみなよ。
ピッキー:(←チーズ嫌い)
じゃあPi-子は騙されたら水戸で納豆食べるんだな?
Pi-子:(←納豆嫌い)
騙されないもん!
どっかで聞いた会話だ。
激しくデジャブー
頭が痛い。やはり我々は洗脳されているのか?(←くどすぎ)
メニューはオーソドックスで目玉焼き、スクランブルエッグ、ウインナー、ハム、ハッシュポテトなど定番ものが並ぶが、葉物の野菜類がほとんどなかった。
当然ながら漬物、のり、納豆、焼き魚はない。
マルタ名物と言われる蜂蜜は濃厚な味わいでパンやヨーグルトにマッチ。
フルーツがいまいち。季節外れのせいかもしないがちょっとがっくり。
 |
部屋の中はこんな感じ |
食後部屋で一服して昼前にロビーに集合。
今日はここからスリーシティーズの観光の予定だ。
スリーシティーズとはセングレア、ヴィットリオーザ、コスクーピアの3つの町をまとめたことをいうみたいだが、ガイドブックでなどで調べると
3つの町に明確な境界はないらしい。
年配の人が多いせいか、ほぼ全員時間通りに集合・・・と思ったら、数人のおばちゃんたちが走って街から戻ってきた。
なんでも今日はヴァレッタのセント・エルモ砦で騎士団のパレードがあり(2週間ごとに行なわれる)それを見に行っていたらしい。
マルタ空港からホテルに向かう途中、今川さんが言っていたのだが、首都ヴァレッタからホテルまでは30分以上かかるということもあり、
集合時間に遅れないようにするにはちらっとしか見れない・・・ということだったので我々は行くのは止めたのだ。
Pi-子:パレード、見られました?
おばちゃん:うん、本当にちらっとさわりだけね。
それでも行くとは・・・恐るべきベテランパワー。
全員揃ったところでバスはゆっくり動き出した。
ジュリ:皆さん、おはようございま〜す!・・・って、もうお昼ですね。皆さんのガイドを勤めさせていただきます"ジュリ"です。
よろしくお願いしま〜す。
日本人である。旦那さんがマルタの人とのことだ。
バスからの車窓に目を転ずるとマルタの町並みは全て建物の色が同じで形も大差ないので統一感があり、ほとんど高層建築物もないのでジオラマのようなイメージ。
マルタの建築物は基本的には地元で採掘されるマルタ石を一定割合使用しなければならないそうだ。
石灰が積まれてできた島なので木材などの住宅用資源が少ないことも庶民にとっては(コスト的に)マルタ石を使わざるをえないのかもしれない。
ちなみにマルタ人の平均年収は100万円ほどでだそうである。主たる産業が観光業では無理もないところだ。
まあ、基本的にはマルタ人は毎日をのんびりと過ごしている感じに見受けられるのでそれほどお金をつかうこともないのだろう。
カトリック教徒なので宗教上質素であるのかもしれない。
一戸建てに住んでいるのは裕福な家で、庶民は集合住宅のようなところに住むことが多いらしい。
家の壁や入り口にマリア様の小さな像がついている家もあり、マルタ国民の熱心なカトリック信仰が伺える。(一部プロテスタントもいる)
2F以上は出窓になっている所が多い。
道路事情についてはマナーもよく左側通行ということもあり、日本で日常運転されていればレンタカーでも問題ないと思う。(自分が運転したわけではないが)
鉄道が無く公共交通手段がバスかタクシーしかないのでレンタカーの旅もよさげである。
ただしバレッタなどの市街地は一方通行が多いのでその辺は注意が必要だ。
道路そのものは舗装はしてあるものの道は例外なくあちこちで凸凹があるので長時間のドライブでは疲労を感じそうだ。
ま、長時間走れるほど大きな島でもないのだが。
自転車はというと上記理由に加え坂道、砂埃、市街地はバスによる排気ガスも多いのでまさに根性ある人向けといえよう。
バスはスリーシティーズへ・・・行く前に昼食のためレストランに向かった。
ランチのメニューはミートソースパスタ。
本場イタリアに近いということもあり期待したがどうもコシがなく、茹ですぎ。食べられないほどまずくはないが日本のファミレスのほうがよっぽどうまい。これがマルタ人の好みなのだろうか?
付け合せの野菜の盛り付けもまちまちで、どうも大雑把なマルタ人の特性のようなものに感じる。
味見しないで適当に作りましたみたいな感じである。
しかし店員さんはみんないい笑顔で親切だったし、別料金で注文した赤ワインはうまかった。
食後、バスはいよいよスリーシティーズに向かう。
スリーシティーズはというと上記で書いた通り3つの街の総称である。
16世紀の初頭には小さな村に過ぎなかったのだが、ロードス島を追われマルタに到着した騎士団が最初に定住した場所。
天然の要塞と呼べる複雑な地形を利用し岬に砦を築き、1565年の大包囲戦(オスマントルコ帝国の軍がマルタに攻めてきたとき
騎士団と島民が一致団結してこれを撃退したという戦い。)に勝利。
1571年、騎士団が行政の中枢をヴァレッタ(現在の首都)に移してからは海事の中心地となったのである。
今でもこの地域は海運事業などの中心となっている。
産業としてはだいぶ衰退してしまったそうだが、マルタに7つある造船所は全てこの地域に集結しており、海をみていると貨物船などがしばしば通る。
まずはセングレアにあるセーフヘブン公園(Safe heaven Gardem)へ。
ふつ〜の住宅街の一角にあるようなふつ〜の公園なのだが、ここからは対岸にあるヴァレッタがよく見えるのだ。
天気もよかったので青い空と海、そしてマルタストーンで作られたクリーム色のヴァレッタ城壁のコントラストがなんともいえない。アッパーバラッカガーデンも一望できる。
こういう場所が日本にもっとあれば趣味は散歩という人も増えるのであろう。
公園の真ん中には大砲と大砲の弾が飾られている。
当然レプリカだろうが、今でも敵が攻めてきたら実際にこいつで戦うのでは?というほど頑固で素朴なマルタ人気質イメージさせる。
しかしこの公園の一番の見所は海に突き出た6角形の監視塔(Gardiola)だろう。
面白いのはその監視塔、目と耳がついているのである。
目で海を監視し、耳で不振な音、敵の到来を聞き逃さないということなのだろうが、発想が面白い。
 |
 スリルの味わえるベンチ |
監視塔(Gardiola)
| |
公園から階段を下りていくとすぐに海。
海岸線にベンチなどもおかれてるが、このベンチがなかなかスリリング。
風がやや強く、波が荒かったせいもあるが波しぶきがベンチにまでおしよせてる。
足元もすべりやすいし、うっかり足を滑らせたら海に落ちる危険もあるが柵もなにもない。
日本な安全措置を怠ったとして子供でも落ちたら裁判になりそうだがこちらではどうなんだろうか?
そこからちょっと移動してヴィットリオーザへ。
ここからは徒歩で観光、街中には公衆トイレがないということで、街に入る入り口の唯一あるトイレの前でトイレ休憩をとることになった。
このトイレ休憩、予想外に時間がかかった。マルタはトイレの水の流れが悪く、流すのに時間がかかってしまうのだ。
水を流す時はポンプアップする要領で繰り返しレバーを捻らないと流れない。
しかもトイレによって違うみたい(ジュリさんから聞いた)なのでコツを覚えるのがたいへんだ。
さらに団体客が来ることを考慮されていないのだろう。大きなお店などでもトイレの個室はほとんど男女それぞれ1箇所、多くても2箇所しかなく、
我々31人の団体(ま、全員はいかないだろうが)が来ると行列ができ、その上流れが悪いので回転が非常に悪い。
トイレは早め早めに言っておいたほうが無難だ。
ペーパーの使用量も控えめのほうがいいだろう。使用済みのトイレットペーパーを入れるごみ箱があるトイレもあった。
四方を海で囲まれているんだから水は豊富にあるじゃん・・・と思いがちだが、逆に河川、湖が無いので飲用も含め水資源は全て海水をろ過、中和しているんだそうだ。
だから真水というのは貴重で単価も高いものになっている。
各建物に雨水をためておく桶などもちらほら見られ洗濯などではそちらを使うようである。
そのため、洗車を控えめにする人が多いらしく、実際街の中を走っている車はどれも汚かった。
Pi-子はまだトイレ待ち中。ただでさえ女のトイレは時間がかかるからな・・・
と思いつつ周りの風景を眺めていると少し遠くから俺を呼ぶ声が・・・
マルタ人の知り合いはいないのだが・・・と思いながら振り返ると子供が2人手を振っている。
近くにボールが転がっており、取ってくれということらしい。
サッカーボールだったので蹴り返してやる子供がと話しかけてきた。
 |
人懐っこいマルタのサッカー少年 |
子供:おまえ中国人か?
ピッキー:いや、日本人だよ
子供:ナカタが有名だよな
ピッキー:おお。よく知ってるな、ナカムラ知ってるか?
子供:知ってるよ ボクはイングランドが好きなんだよ。
ピッキー:ベッカム好きか?
子供:(目を輝かして)
好きだよ!
ベッカム人気は世界共通だ。(日本じゃ女性週刊誌の人気者になっていたこともあったが)
その後も話しかけてきたのだが英語がよくわからない。
仕方ないのでわからないしぐさをして手を降って別れを告げる。
ピッキー:アディオス!!少年よ大志を抱け!
ちなみにマルタにもサッカーリーグはあり当然代表チームもあるが、なみいる欧州の強国の中で目立つ機会は少ない。
残念ながらワールドカップなど夢のまた夢というのが現状のようだ。
途中、宗教裁判所などを見学しながらヨットハーバーまで到着した。
今日は日曜日、さきほどの公園もそうだったが、マルタの人たちは散歩したり、日向ぼっこしたり、釣りをしたりして平和でのんびりとした休日を過ごしている。
マルタ国民は前述のとおり敬虔なクリスチャンが殆ど。
日曜日の午前中は教会でお祈りをするのが一般的で、午後から家族と外出(散歩など)して過ごすことが多いとのこと。

そしてのんびり過ごしているのは人間だけではなかった。
写真集も発売されているマルタ猫とご対面。
古代から交易などでつれて来られたマルタの猫たちはいつしかマルタの名物ともいえる存在になったのだが・・・まあ、かわいい普通の猫である。
よく見かけるのは虎ブチが多い。
野良猫でも人に慣れしているようで目が合ったただけで逃げられるということはなかった。
さすがに触ろうとすると逃げるが、あまり警戒心もなく人が往来する中のんびりひなたぼっこしている。
なかにはおこぼれを狙っているのか、釣りをしている夫婦のそばで休んでいるちゃっかり者(猫)ものもいる。
"マルチーズ"という犬の由来はマルタ・・・と聞いたことがあるのだが、マルチーズは見かけなかったな。
これで今日の日程は終了し、バスはホテルに到着。
食事はホテル内レストラン、朝食と同じ"コンチキ"でビュッフェ。
メインはコックが目の前で切り分けてくるローストビーフとポークステーキ。
ところがローストビーフは不評。かなり硬くてなかなか噛み切れない。
これは他の人でも同じ意見で、そのくせBIGサイズに切り分けてくれるものだからみな残していた。
そしてポークは・・・まあまあうまかった。
ピッキー:ところでおれのポークはなぜこんなに小さいのだ。そんなにおれが少食に見えるのか?
曽根さん(同じツアー参加者)
:ほんまやねー、あたしのビーフなんかこんなにでかくて、おまけに硬くて全部食べられへん。
Pi-子:・・・それあたしのポークのかたわれじゃない?あたしは切ってもらうときに多いので半分にしてくれって頼んだんだ。
ピッキー:その残り半分だってか そういえばPi-子の後にポーク頼んだの俺だったな。Pi-子、いくら共食いになるからって
そうゆうことすると後の人に迷惑がかかるだろ?
スターン スターン(((((o・・)o シュッ(o・・)=========◯)`ν°)・;'.、
ピッキー:細やかな気配り精神があれば、半分残った肉は食が細そうな年配者や女性に・・・ってなると思うんだがな。
Pi-子:ま、しかし、その大雑把な気配りがマルタらしいね。
ピッキー:大雑把な気配りって気配りといえるのか?
Pi-子:ピッキーのお腹を見たら共食いになると思ったんだよ、きっと。
ピッキー:フッ ε- (ー ^ )
鼻で笑いつつ、せっかくのビュッフェだからとおかわりに行く。決してPi-子の攻撃を避ける為ではない。
基本的にセルフサービスなんだが、店員さんはヒマそうで言えば取分けてくれた。
ピッキー:ポテトください
コック:あい
・・・コロリン
小さいの一個だけかよ!
ピッキー:にんじんください
コック:あい
どっさり!
なんでこんなにくれんだよ!ポテトが1個なのになんで人参がたくさんくれるのかワケ分からん!!
これがマルタ流の大雑把な気配りなんだろう・・・
気を取り直してデザートを食べよう。
何種類かケーキを切り分けて席に持ち帰るが・・・
甘〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!
いや 某お笑いコンビではない。
まじで甘い。どのくらい甘いかというと一口食べるたびに渋い抹茶かブラックコーヒーが飲みたくなる。
オレもPi-子も甘いものは好きだがさすがに気持ち悪くなってきた。
しかしここはマルタ 水さえも有料なので我慢して、部屋で濃い紅茶を淹れて飲むことにしよう。
食事以外は大満足な一日目がこうして終了した。
(ピッキー)