古代神殿と古都(An ancient shrine & Ancient Capital)


雨の中のイムディーナ(静寂の町)

二日目 8:00起床。
天気は一転曇り空。青い空はどこへやら。
部屋のバルコニーから海に目をやると、荒れくれ放題で松竹のオープニング状態。

今日の予定はブルーグロットといわれるマルタ有数の景勝地見学が入っている。
イタリアの「青の洞窟」は有名だが、それのマルタ版といってもよい(んじゃないかな)こっちのは洞窟ではなく洞門となっている。
波と風で削られたアーチ状になっている岩の下をボートに乗りながら観光する予定なのだ。

この波の荒れよう!!
こいつは・・・ようやくアドベンチャーになってきたああ!!激流遊覧が楽しめそうだ。



今川さん:おはようございます。今日はあいにく天気が悪くて・・・この風と波ではおそらくボートは欠航だと思います。
添乗員の今川さんの本日の第一声。
そんなぁ、せっかく激流遊覧を楽しみにしていたのに・・・(T_T)

今川さん:まぁ、まだ分からないので、まずはブルーグロットへ向かいます。
望みは薄いが、まだ欠航と決まっているわけでもないんだな。

集合はみな早く、集合時間前に全員集まっていた為、バスは定刻より早く出た。
ブルーグロットへはセントジュリアンより南下、1時間くらいの行程である。
昨日の市街地とくらべ田舎道をひたすら走る。
建物があまりないので見晴らしがよく、ごつごつした土地が広がる。
ところどころ教会やモスクが見えるところから島の人々の信仰の厚さ、それと西欧、中近東、アフリカの真ん中にあり、様々な文化(宗教) が入ってきているんだな、と感じる。

ジュリ:海が見えてきましたよ〜・・・ああ、やっぱり波が高すぎ。ボートはダメです。あきらめましょう!
まったく夢も希望もないもんだ。
まあ、俺が主催者でもこの天気ならボートが動いても中止にしただろうな、年配者多いし。

ジュリ:今日はシロッコがすごいですね。あ、シロッコっていうのはアフリカ大陸から来る風です。南から海を渡って来るので 湿気を含んだ暖かい風なので寒くはないんですが、かなり強いんですよね。ましてやこの辺は海っぺりだし。あ、着きましたよ。ボートは無理ですが ここからブルーグロットがよく見えるんですよ。

天気がよければすばらしいマリンブルーが目の前に展開し、Oh,this is a resort ! となるはずだが
今日はグレーグロット。まともに立てないほどの突風に荒れ狂う波は

This is 火サスのクライマックス的風景!

となっている。(悲)

これじゃ「白波の洞門」だ

バスを降りるとすごい突風!
まるで台風のような風、しかしジュリさんの言うとおり寒くはない。

確かに青の洞門の全景を眺めることができる絶景のビュースポットなのだが、あまりの突風に写真もそこそこにみなバスに引き上げる。(特に年配者)
しかし我々は「チーム・アドベンチャー」("茨城・福島編"ご参照)
行けるところまで行ってみよう・・・集合時間に遅れない程度に。(^_^;

ピッキー:むひょ〜!い・・・息がでないっ!
Pi-子:わ〜、私も吹き飛ばされそう!
ピッキー:Pi-子の体重なら大丈夫だよ!
Pi-子:何?風で聞こえなかった。
ピッキー:いや、なんでもない!


風に助けられながら崖の一番先の方まで(当然ながら柵あり)行くとキアイと根性のあるおじさん&おばさんのご夫婦が先に到達し、 写真を撮っていた。ちょうどよいので、お互いにツーショット写真を撮りあうと小走りで戻る。
例によってバスに戻るのは一番最後となった。 m(_ _)m

続いてバスは世界遺産でもあるハガール・キム神殿とムナイドラ神殿に向かう。
広々とした草原の広がる高台にあり天気がおだやかであれば青い海が鮮やかに写り、遺産もそうだが景勝地としてもすばらしい場所である が、今のこの天気では荒涼とした場所という印象しかない。

ハガール・キム神殿    オラクルホール(神託の穴)この穴を通して話をし
   神秘的な雰囲気を演出した(らしい)
ムナイドラ神殿の出入り口    冬至と夏至のみ朝日が神殿の奥まで差し込む
   写真の赤い線が朝日の通り道(らしい)

紀元前3000年以上前と推定されるこの遺跡。
オラクルホールといわれる神託の間や女性崇拝(マルタのビーナス)の像など古代から宗教儀式が行なわれていたことがわかる。

ムナイドラ神殿の出入り口はさほど広くないのだが、冬至と夏至のみ朝日が神殿の奥まで差し込むそうだ。
コンピューターのない時代によく正確に計算できたものだ。日時計みたいなものだろうか。

さらに何より驚かされるのは数十トンといわれる岩をてこの原理を利用し積み上げ、加工していることである。
3000年の時を経ても人類は大した進歩をしていないのかもしれないと思う。

ただ狩猟するだけではなく、季節や時間を意識し農作物を育てりして驚くほど文明的な生活をしていたようだ。
この小さな島で紀元前3000年前にタイムスリップできたのは貴重な体験だった。

タイムスリップとはおおげさかもしれないが 荒涼とした雰囲気で人気がなく文明の建築物が周囲にないのでよけいそのように感じたのだろう。

色鮮やかなマルタブルーのガラス
この後、バスはイムディーナ近くのガラス工芸店兼工場へ向かう。
思いのほか広い建物内には色鮮やかなガラス工芸品が展示されており購入することができる。

奥のスペースでは実際にガラスを製作している風景を見ることができる。
ガラスの製作過程自体はオーソドックスな吹きガラスが中心。
作られているガラス工芸品は豪快なものから繊細なものまで様々であるが全体的にはおおきめでどっしりとしたものが目立つ。
名物はやはりマルタの青い海をモチーフにした青色のガラスだそうだが原色をうまく使い鮮やかな発色の作品が多い。
やや高いがおみやげにはいいだろう。

ピッキー:何か買ってく?
Pi-子:う〜ん・・・きれいなんだけど、置き場所考えるとちょっとね〜、それに重くて壊れ物だから持って帰るのたいへんそう。


ガラス工房の後、ラバトに入りランチタイムを終えると小雨だったがいつしか本降りになっていた。
ジュリ:雨が降ってきちゃいましたけどね、ラバトとイムディーナは狭い路地が多いので徒歩でまわりますよ。
雨季とは聞いていたが、マルタでこんな雨など想定外、中には雨具を持って来なかった人もいた。
ガイドのジュリさんが雨具を売っている店を探しにいき、何人かの人はそこで合羽を購入していた。
風が強いので傘では役にたたない。
実際、合羽を購入した人の中には持ってきた折りたたみ傘が壊れてしまった人もいた。

どしゃぶりの中これからラバト〜イムディーナの街へ向かう。

場所は島のほぼ中央部に位置し、1571年にヴァレッタに移るまではここに首都として栄えたが今はオールドシティ(ラバト)、 サイレントシティ(イムディーナ)とも呼ばれている。

紀元前1000年頃、フェニキア人の砦があったところにローマ人が町として発展させた。
870年にアラブ人がマルタ島に侵攻、戦略上の観点から街を壁で囲い、壁の中の街をイムディーナ(城壁の街)、壁の外側の街を ラバト(単に「町」という意味)と呼び、以後、イムディーナには政府の機関がおかれ、主として高僧、貴族が住み着いた。

1530年、聖ヨハネ騎士団たちがマルタ島に着いた時、イムディーナに干渉はしないというのが条件だった為、彼らは居住をヴィットリオーザ(スリーシティー) にせざるをえなかったが、その後、オスマントルコとの戦い「大包囲戦」勝利した騎士たちはヴァレッタに大規模な城塞建設を始め遷都した。

イムディーナに住んでいた貴族たちは巨大な富に群がるようにヴァレッタへ居を移した為、しだいにイムディーナは寂れ、静まりかえっていった事から 「サイレントシティー(静寂の町)」と呼ばれるようになった言う。

ジュリ:まずはラバトにある「聖パウロの教会」へ向かいます。
車一台通るのがやっとという道を1列に並んでジュリさんに着いていく。
そのせいか現地の人も合羽のようなものをはおっており、傘をさした人は少なかった。
それにしてもここまで雨がひどいとは・・・

どしゃぶりの中、聖パウロの教会へ到着。
1世紀に聖パウロはキリスト教を広めた罪でローマへ護送され裁かれることになっていたが、難を逃れ、クレタ島へ逃げるつもりであったのだが、 悪天候の為、船は難破し、マルタに漂着したという伝説がある。
この教会の地下にはは聖パウロが滞在し、キリスト教を広めたといわれている洞窟があるという話だ。

伝説では焚き火の中から突然毒蛇が出てきたがパウロは平然と振りほどいたり、マルタの有力者や住民たちに数多くの奇跡を行ったそうな。
そんなに超人ならそもそも遭難するなよ!・・・というつっこみは無しにしましょう。

ジュリ:教会の中を見るのは無料ですが、聖パウロが滞在した洞窟へ入るのは寄付・・・いわゆるお布施のような ものが必要です。あくまでお布施なので日本の博物館みたく高いものではありません。行きたい人がいれば待ちますがどうしますか?
し〜ん・・・反応なし。
洞窟といっても我らチーム・アドベンチャーの冒険心をくすぐるようなものではないだろう。
誰も行きたいという人がいなかったので次の行程、聖パウロの地下墓地へ進む。


聖パウロの地下墓地の入り口

聖パウロの地下墓地、22万平米の広さに1000もの墓地がある、マルタで最大の地下墓地。
地下には墓地だけではなく、会葬者がお別れの食事をしたと言われる大きな石でできたアガペエ(兄弟愛)テーブル、また死者を弔う祭壇スペースがあり、 地下の暗い空間でオイルランプの下で厳かに死者を弔っていたのだろう。
墓地といっても日本の墓地のように墓碑があるわけではなく、石をくり貫いてその中に遺体を布などでくるんでミイラ状にして安置していたそうである。
今は当然遺体は移設されており何もないが、遺体のサイズに合わせてさまざまな大きさの穴があいており、葬られた人の名前くらいは表示されていたかもしれない。

中は迷路のようになっているがとりあえず照明はあるので普通に歩け、ちょっと探索などしてみたが、かなり広いので全部はとても見きれない。
日本の古いお墓のように「幽霊がでそう」という雰囲気ではないが、墓地だった以上あまり気持ちのよい場所とはいえないにもかかわらず、 雨をしのげたことで一同ほっとして一休み・・・という感じだった。

近くにもう1つ「聖アガサの地下墓地」というのもあるらしいが、ここは見学せずにイムディーナに向かう。

外に出ると雨風はどんどんいきおいを増している。
下は石畳で水はけが悪く排水溝が整備されていないのでひどいところは冠水しはじめている。

ピッキー:普段はこんなに雨は降らないんだろうな。
Pi-子:私が雨雲を連れてきちゃったのかな?(^_^;A


ラバト中心部からイムディーナまで、ほんの数分だったと思うが、こんな雨の中では長時間歩いたような気がする。

イムディーナはガイドブックとジュリさんの説明の通り、ぐるっと城壁で囲まれた街で分かりやすかった。
両側にシーサーのようなライオンの飾りが鎮座しているメインゲートから入城。
メインゲート手前には観光用馬車があったがこんな天気じゃ開店休業か?

中は外敵に備えまっすぐな道は少なく、高い壁に挟まれた小さな路地が連なっている。
ひんやりとした狭い迷路のような道は「静寂の町」という名の通りもの寂しい感じがする。(天気も悪いし)
行ったことはないが、ヨーロッパというよりアラブっぽい雰囲気だ。

イムディーナのメインゲート 堡塁広場からの眺め

まずはイムディーナのメインストリートを真っ直ぐ進んでいくと「堡塁広場(文字通り堡塁の上の広場)」に突き当たる。
イムディーナは丘の上に町が作られているので、ここからの景色は最高。
本来はバレッタが見える・・・のだが、今日は真っ白で何も見えない。

ジュリ:この辺は下に畑が広がっていて、畑の緑と遠くに見えるヴァレッタの町と海と全部いっぺんに見れて きれいなんですけどねぇ。
そう言われるとぜひ見てみたいものだ。
最後のフリータイムの日にリベンジしてみるか。

その後はイムディーナ大聖堂で観光・・・なのだが、完全に一休み。
やはりここまでの風雨は堪えた。みな疲れきっている。
今川さん:ここで休憩をとろうと思います。イムディーナの町はさほど広くないので、町の外に出なければ 辺りを見てきても構いません。
そう言われたら喜んで外へ行きそうなPi-子もその気配はない。

しかし、大聖堂の中だけでもかなりの見所はある。
豪華な天蓋付き祭壇、美しいステンドグラス、丸天井には聖ペテロと聖パウロの生涯が描かれている。
そして床はきれいな大理石で作った絵・・・と思ったら、これ、墓碑だそうで、多くは貴族のお墓。
それぞれ出身地、家紋などが入っていて、一つ一つ見ていくとかなり面白いかも。

大聖堂の中で一休み きれいな大理石で作った絵・・・と思ったら墓碑だった

・・・てなことを、日本びいきという神父さんが丁寧に説明してくれた(日本びいきだけど英語でした)
さらにツアー客31人全員に絵葉書をサービス。
その上、本来は禁止されている写真撮影もノーフラッシュながらこっそりOKしてくれた。

今川さんから「外に出てもいい」と言われていたが、ザーザー降りの雨の中、外へ行った者はいなかったので、予定より早くホテルへ戻ることとなった。

ピッキー:早く終わったからサンダル買いに行きたいな。
Pi-子:え〜、雨降ってるのに?ま、いいや、私もスーパーとか行ってみたいし。

こうして一旦ホテルへ戻ってからセント・ジュリアンの町を買い物&散策しに行くことにした。

帰りのバスでスーパーやバスの乗り降りのポイントをジュンコさんが説明してくれた。
矢田さん:雨もちょ〜っと小降りになってきたみたいだし、私たちも行ってみようかな?
野口さん:時間決めてみんなで行ってみません?
Pi-子:じゃ、30分後にホテルのロビーに集合しましょうか。


こうして30分後、母娘でツアーに参加していた矢田さん母娘と野口さん母娘とみんなでセント・ジュリアンの町へ。
野口さん(母):セント・ジュリアンはレストラン、カフェ、カジノがひしめきあってる・・・ってガイドブックに 書いてあったけど、ホテルの周りは何もないわねぇ
Pi-子:大きなホテルが多い分、ちょっとしたカフェとかってないですよね。ホテルの中にはあるんでしょうけど。
野口さん(娘):同じJ○Bのツアーでも「足袋物語(仮)」じゃなくて「○ック」の方は、セント・ジュリアン の繁華街の方のホテルでしたよ。値段が高い上、一ヶ所に連泊じゃなかったから「足袋物語(仮)」にしたんですけど。
矢田さん(娘):かなりお得なお値段で5ツ星ホテルに連泊できるんだから、しょうがないのかもしれないですねぇ〜
ピッキー:でも繁華街にあるホテルより静かでいいのかもしれませんよ。

こうして「高いツアーに参加しなかった(できなかった?)んだからしょうがないよ」みたいなことを皆でフォローしながら歩くこと10分ぐらいで セント・ジュリアンのショッピングモールのある地域に到着した。

矢田さん(母):あら、意外と早く着いたわね。ガイドさんは歩いて10分から20分とか言っていたのに。
Pi-子:年配の方が多いからそう言ったのかもしれませんね。
矢田さん(娘):あ、ジェラート屋さん発見!ね、ジェラート食べません?

(矢田さん(娘)、雰囲気がなんとなくこなつちゃんに似ているが、胃はねじきに似ているんだろう。by Pi-子)
こうしてジェラートを購入。やはりBIGサイズだが味はうまかった。

その後、同ツアーの皆さんと解散し、それぞれ目指すところ(ただの散策?)に出かけた。
今まで巡ったスリーシティー、イムディーナなどは古きよきマルタの町という感じだったが、このショッピングモールは日本のと全く同じだった。
映画館、バー、おしゃれなレストランなどがあり、若者が集まってくる場所のようだが、日本の渋谷などに比べると絶対的に人の数が少ない。
そのせいか治安的にそれほど不安になることもなかった。

ショッピングモールはそれなりににぎわっていたが、あくまで日常の買い物をする場所で旅行者である我々が見るべきところはそれほどなかった。
みやげ物店もあったのだがあまり客はいなかったし品揃えも少ない。
前述した通り、付近に大型ホテルが多いので、夏のバカンスシーズンは違うのかもしれないが。

ここでサンダルを探すが、ナイキ アディダスのショップはあったもののサンダルは置いていなかった。
やはり季節外れだからだろうか?
ECCOはさすがに靴屋だからか、サンダルを置いていたが、サイズの合う物がなく購入を断念。
この旅行中だけの用途なのでいわゆるつっかけるような使い捨てサンダルでよかったのだが、日本円で4〜5千円もするとさすがに使い捨てともいかず、 ならばそれなりに納得したものが欲しくなるというものだ。

帰り道、雨は上がっていたので小さな浜辺に出てみた。
雨は止んでも、相変わらず風は強い。
夏場は海水浴でにぎわうそうだが、今は薄暗い中に荒れた海。
黒っぽい海草が大量に浜辺に打ち上げられ気味悪さ倍増。

夕飯はホテル近くのレストランへ移動。
昨日と似たようなメニューの食事でポテトにニンジンのつけあわせで魚がメイン。
まあ、まずくはないがそれほどうまくもない。

画像にマウスを合わせてみてね
はっきりいえば旅行にきてまで食べたくはない。
しかしこれがマルタで一番日本人向けということなのかもしれない。

今川さん:今日は1日、雨の中お疲れさまでした。明日は朝9時にロビーに集合です。
ホテルへ戻ってきて、ロビーで解散となった。
さ〜、じゃあ部屋へ戻ってひと風呂(バスタブ付だったので)浴びてから寝るか〜(時差ぼけのせいかすでに眠い)・・・と思ったら、Pi-子はエレベーターと逆方向へ歩いていくではないか!?

ピッキー:あれ、Pi-子?
Pi-子:フロントの脇に天気予報があったから見ていこうと思って。

今日は雨の中の観光だったから明日は晴れるといいんだけどな〜。
希望をもって天気予報のモニターを見ると・・・

明日の天気・・・サンダーストーム・・・ってことは雷雨!?

(ピッキー)