郡上八幡→美濃


郡上八幡市の外灯


三日目は小雪舞う朝であった。
しかし、岩手(岩手編参照) の時のように豪雪ではなく「ハラハラ舞う」程度で風情がある。
昨日の夕食に続き、これまた美味な朝食をいただいた後は、写欲(?)をそそられるまま「治郎衛門」の雪化粧された美しい和風庭園を撮影。

民宿「治郎右衛門」の庭園郡上八幡らしい水舟

治郎右衛門を後に郡上八幡の中心部へGO!

しばらく走ったところに昨夜見つからなかったコンビニを発見!!
車だとあっちゅう間なのだが、歩きでは来るにはちょっと遠いな。

せっかくコンビニまで来たので飲み物、車内用のおやつ、大将の靴修理(応急処置)のための接着剤を購入した。
車に戻ってから早速修理を試みる。
うまく直ればいいのだが・・・

郡上八幡旧庁舎記念館の駐車場に車を停めて郡上八幡の街へGO!

Pi-子:番号!
るむ:1!
まる子:2!
大将:3!
ピッキー:4!

Pi-子:いつもながらすばらしい・・・さて、今日の予定を説明しよう。ピッキー!
ピッキー:は!今日の予定は午前中に郡上の街を散策、その後美濃の街を散策、そして名古屋に戻って帰宅と盛りだくさんの行程になっております。
るむ:私、名古屋で友達と会うことになっているから遅くとも15:00までには着きたいわ。
Pi-子:15:00か・・・ま、なんとかなるでしょ。

早くもいつもながらの押せ押せの展開が予想されるが・・・郡上八幡の街散策開始!

まずは車を停めた郡上八幡旧庁舎記念館。
1936年(昭和11)に建てられた洋風建築で、1994年(平成6)まで実際に八幡町役場として利用されていた。
1997年に八幡町は、旧庁舎を取り壊さず、再生することを選び、1999年に郡上八幡旧庁舎記念館としてリニューアルしたのだ。
1998年に国の登録文化財となっており、建物内には観光案内所や無料休憩所、食事処、土産物が揃っている。

郡上八幡旧庁舎記念館昭和な町並み

レンタサイクルもあったのだが、時間がないとはいえ、自転車の速度で走り抜けてしまうのはおしい街なので徒歩で行くことにした。
問題は大将の靴だが・・・ソールの壊れた靴で無理をして歩いては足を痛めかねない。

昔風情の情緒ある街を散策していると、これまた昔風情の情緒ある靴屋を発見!
店頭には下駄が並び、中身もなかなか昭和な品揃えだ。
さすが踊りの街、郡上!

「郡上踊り」は国の重要無形文化財で、日本三大盆祭りの1つ。
その歴史は400年にわたり、江戸時代に領民の和を保つため、奨励され盛んになったのだそうだ。
毎年7月から9月まで33夜連続して行われ、なかでもお盆の4日間は徹夜踊りといって朝まで踊り続けるとか。(すごい)

郡上踊りは「草履」ではなく「下駄」。
下駄の音をカランコロン鳴らしながら踊るんだそうで、街の靴屋には普通にゲタが売っているし、ほとんどの宿泊施設では下駄のレンタルをしている。

Pi-子:下駄いいじゃん!下駄にしなよ。(笑)
大将:下駄はいて新幹線乗って帰るのはイヤだなぁ。
まる子:こっちに普通の靴があるよ。これなんかいいんじゃないの?

大将にいろいろお奨めするも、本人はあまり乗り気ではないようなので壊れた靴で街歩き続行。

ちょっと歩いていくと玉石を敷きつめた道と水路がある「やなか水のこみち」に出た。
夏だったら涼を感じる路地なんだろうけど・・・いや、冬でも寒いけどなかなかGood!な雰囲気の場所。
道に敷きつめられた石は8万個にも及び、長良川と吉田川の自然石なんだそうだ。
ここには美術館やら民芸館があり今では観光スポットなっているが、江戸時代には旦那衆がこの道を通ってこっそり遊郭へ行く、という秘密の裏路地だったという。


やなか水のこみち
いがわこみち

郡上八幡旧庁舎記念館の近くにはもうひとつ「いがわこみち」という小道がある。
こちらは住宅の石垣や塀に囲まれた狭い小道で、鯉や川魚が泳いでいたりする「やなか水こみち」より人々の生活を感じることができる場所だ。
実際に生活用水として使われていて、共同洗濯場もあるのだが、観光客の目に晒されるので最近はあまり使われていないんだとか。

郡上八幡の町中に張り巡らされた水路、水の豊かな場所ということもあるのだが、元々は防火用水として江戸時代に整備されたものらしい。
木造家屋が密集しており、過去二度の大火に見舞われたという歴史が人々の防火意識は高めているのだろう。
家々の軒先に下がる消化用バケツがそれを物語っている。


軒先に下がる消化用バケツ
郡上八幡のメインストリート「新町通り」

新町通り交差点を曲がり吉田川(宮ヶ瀬橋)の方向に進むと古い町屋においしそうな食べ物が・・・いや、食品サンプルだ。
看板を見ると「さんぷる工房」とある。
外観の写真を撮っていると女性陣(Pi-子、まる子、るむ)が中へ入っていった。

店の中にはレストランのショーウィンドーを飾る本格的食品サンプルからお土産用の携帯ストラップ、キーホルダー、マグネットなどなど
見ているだけで楽しい。

さんぷる工房すべて食品サンプルです。(食べられません)

なぜ郡上八幡に食品サンプルの工房&お店があるのかというと、食品サンプルの生みの親・岩崎滝三さんは、郡上八幡の出身なのだ。
1932年(昭和7年)大阪にて食品サンプル事業を創業し、1955年(昭和30年)に岐阜工場を設立。
今でも郡上八幡は食品サンプルの生産量日本一で、全国シェアの約60%を占めているんだとか。

食品サンプルを見ているだけでも楽しめるが、事前に予約をすればサンプル作りが体験できる体験コーナーもあるので、時間があればいいかもしれない。

宮ヶ瀬橋を渡って北側の本町方面へ。
この辺りは郡上八幡の中心地。
周辺には飲食店、酒屋、お土産屋などのお店も多く、観光客が大勢集まっている。

しかし前方を歩いている団体さん、どうも日本人ではなさそうだ。
かといって欧米系でもないから・・・中国人か韓国人か?
Pi-子:中国人だね。中国語話してるから。
るむ:隊長、何て話してるか分かる?
Pi-子:あ、いや、断片的に単語聞き取れるけど、全部は・・・それが聞き取れれば苦労してないってことよ!

開き直る隊長。

我々は団体さんの邪魔にならないように宗祇水(そうぎすい)へ。
本町の大通りからちょっと小路に入ったところ、朱塗りの清水橋のたもとにあるのが宗祇水(そうぎすい)。
この泉は、名水百選の第一番目に選ばれた湧水。
室町時代の連歌の「飯尾宗祇(いいおそうぎ)」がこの湧水の傍らで庵を結んで愛飲したことから「宗祇水(そうぎすい)」といわれる。
上から見て段々になっているが、御堂のすぐそばの源泉の近くは飲み水、一段下は果物などを冷やす所、その下は洗濯するところ、と使い分けているのだ。

ひしゃくですくって一口飲んでみる・・・う〜ん、まろやかというか清らかというか。
しかし、辺りが騒がしくなってきて、見ると先ほどの中国からの団体さんがこちらに来ていたので我々はもとの本町方面へ戻ることにした。

朱塗りの清水橋水の町・郡上八幡を象徴する宗祇水

鍛冶屋町方面へ進むとちょっとしたお祭り(?)をやっていたようで路上にいくつかの屋台が出ていた。
ピッキー:こんな寒い時期に何のお祭りだろう?
誰に言ったわけでもないが、誰からも返事なし。(;_;)

見ると前方で甘酒を配布しており、まる子姐さんを先頭に皆そっちへ並んでいた。
さすが、目の付け所が姐さんだ。

自分も甘酒配布の列に加わろうかと考えたが、ふと横を見ると「飛騨牛の串焼き」と書かれたのぼりが見えたのでそっちへ行ってみた。
見るとこれはこれはこれはうまそうな飛騨牛の串焼き!
1本500円とちょいと割高ではあるが、即決即断で購入。

んんん・・・んまい!!

肉が適度に柔らかく、口の中に肉汁じゅわ〜と広がる。

串焼きくださいなまいう〜

Pi-子:何食べてるの?一口ちょうだい。
スペシャルまいう〜・・・と飛騨牛の串焼きを堪能していると甘酒片手にみんな戻ってきていた。

ピッキー:いや、これはあげられないな。そのぐらいうまい!!
大将:そんなにうまいのか?じゃあ、オレも1本。
るむ:私も食べた〜い。

結局全員、飛騨牛の串焼きを購入&堪能。
食後に甘酒をもらいに行こうと思ったが、すでに配布終了していた。残念!

Pi-子:う〜ん、そろそろお昼かぁ。この先へ行くと江戸時代からの庶民の町、職人町・鍛冶屋町があって、その先のお城(昨日行った)の方へ行くと武家屋敷のおもかげが残っている柳町があるんだけど・・・ 15:00に名古屋だから、美濃へ行くか、それとも美濃へ行かないで郡上八幡を堪能するか・・・どっちがいい?
二択かぁ・・・時間的に両方は難しいもんな。

るむ:せっかくだったら美濃も行ってみたいな。
やはりこんな時は「るむの一声」で決定したのだった。


急ぎ足で郡上を出て美濃の町へ向う。

美濃は「"うだつ"の上がる町並み」で有名な町だ。
出世しない、ぱっとしないような人(自分のことかぁ)のことを「うだつがあがらない」というが、そもそも"うだつ"って何だ?

昼ごろ郡上八幡を出発したので、美濃へ着いたのは13:00頃。
「うだつの上がる町並み」の中にも駐車スペースはあったが、どこも満車だったので、ちょっと離れた「ふれあい広場駐車場(100台駐車可能)」へ車をIN。

車を停めたふれあい広場の周辺は古い家もあったけど、まぁ、普通に住宅地だったが、そこから歩いて数分のところに古めかしい街並みが存在している。


時代劇のセットのようだ
うだつの上がる家

噂の"うだつ"と対面。
"うだつ"とは本来、隣家との間についた防火壁のこと。
「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉の通り(江戸ではないが)日本の住宅は木造で家と家がくっついているので1件火事が出るとすべての家が燃えてしまう。
これを防ぐために"防火壁"というものが造られたのだが、江戸中期頃から装飾的な意味に重きが置かれ、本来の「火を防ぐ」ということもよりも財力をアピールする手段として"うだつ"はより立派に、華美になっていく。
当然、出費が必要なことから、"うだつ"がある家は比較的裕福な家に限られた為、「生活や地位が向上しない」「状態が今ひとつ良くない」「見栄えがしない」という意味として"うだつが上がらない"の語源になったといわれている。
(一部 wikipedia より抜粋)

道路が舗装されていなければ、時代劇の撮影に使ってもおかしくない。
白川郷、郡上八幡に負けず劣らずの昔風情。

美濃和紙のランプシェードやレターセットを販売しているお店、観光協会の入った番屋風の建物、和菓子屋などをひやかしながら一周する。
カフェやお食事処もあるのでゆっくりしたいところだが、いかんせん時間がないので駆け足だ。
大将:そういや昼食まだ食ってないぞ。
るむ:友だちと15:00に会って、名古屋で有名なひつまぶしの店に行く予定だよ。
Pi-子:おいしいひつまぶしをさらにおいしく食べるため、昼食はなしだな。時間もないし。
大将:とほほ・・・。


駆け足で一周している我々だが、まる姐さんがまたしても行方不明。
見ると一軒の造り酒屋があるではありませんか!!

意を決して隊長と酒屋の中へ突入!
小坂酒造場、観光協会でもらった地図には「小坂家住宅」と書いてあり、なんと1772年(安永元年)創業の造り酒屋さんだそうだ。
今でも現役の住宅兼店舗として使用される建物は、国の重要文化財にも指定されている。


小坂酒造場
長い長い通路
長良川の名水を使った代表銘柄「百春(ひゃくしゅん)」の文字が入った大きな暖簾をくぐると、お店−酒蔵−住宅と一直線につながった長〜い通路。
本当に21世紀の平成時代なんだろうか・・・というタイムスリップ感覚にとらわれていると前方にまる姐さん発見!

Pi-子:まる姐さん!!
よかった、呑んだくれて暴れているわけではなくて。
まる子:見て、これ!!
まる子さんの指差した先には幻の銘酒・・・ではなく靴!!

靴の下には「前回の蔵開きで忘れられた方はどうぞお持ちください」と書いた紙が。
Pi-子:どうしたら靴なんか忘れるんだろうね。
ピッキー:う〜ん、大勢で靴脱いで見学していたら、誰かが自分のじゃない靴履いて帰ちゃって、最後の人が「オレの靴がない!」ってなったのかね?
まる子:それより、靴があるんだよ!!
Pi-子&ピッキー:あっ!!


3人の脳裏には1人の男が浮かんだ。
そういや、昨日から靴底(ソール)のとれた男がいたっけ・・・
まる子:試しに履かせてみよう。呼んで来るね。
まるでシンデレラのような話だ。
酒屋の娘さんの婿に・・・という話になったらおいていこうか。(ナイナイ)

待つこと数分、まる子さんと一緒に噂のシンデレラボーイ(?)の登場。
大将:忘れ物の靴があるんだって?
Pi-子隊長:うん、サイズがあえば掘り出し物じゃない。
大将:どらどら・・・


さっそく試してみるが・・・

大将:きつ〜い!入ら〜ん!!残念!!!
美濃のシンデレラ・ボーイにはなれなかった・・・


傷心(?)の大将の背中
シンデレラ・ボーイになれるか!?

ゆっくりする間もなく次のポイント、旧名鉄美濃駅へ。
美濃駅は1923年(大正12年)に名鉄美濃町線の駅として開業されたが、路線の部分廃止により1999年廃駅。
しかし長年親しまれ産業遺産としての評価が高い駅舎を保存しようという機運が高まり、2000年に記念館として再スタートをきることになった。

駐車場が見つからず、なおかつ時間もないことから
Pi-子:フェンス越しにチラッと見て写真撮ったら次に行くよ。
・・・と言っていた隊長とるむさんが2人揃って駅の中へ入って行った。

言うこととやることが違ってんぞ、ゴラァ!

と思いつつ、車はその場に路駐させ、ピッキー、まる子、大将も後に続く。

ピッキー:チラ見したら次行くって言わなかったかい?
Pi-子:そうなんだけどさぁ、駅舎も当時のまま残ってるっていうし、ちょっと見たいかな〜なんてるむさんと話ててさぁ。

お約束な展開だ。

駅舎はほぼ現役当時の状態で残っているんだそうだ。
昔の写真があったり、鉄道関連の備品の展示、チョロQ等など乗り物系おもちゃやお土産品の販売がされている。

ホームに出ると3両の車両の先頭車両のみが保存されている。
車内へは自由に立ち入ることができたので、乗客になったり、運転手になってみたり、忙しい。



保存されている車両
旧名鉄美濃駅

まる子:あ・・・あれ?車の後部のトランク開けっ放しじゃない?
Pi-子:トランク、開けたの誰だ?

全員、オレの方を見つめる。
^〜^)じと〜 (-_-(- _-;(・_・(・o・

ピッキー:だって、チラ見して写真撮ったら行くって言ったから!
Pi-子:まぁ、いい。みんな撤収だ!

駆け足で車に戻る。
車泥棒、車上荒らし、逃走中の逃亡犯が来なくてよかった。

もうちょっとゆっくり見たかったな〜と後ろ髪ひかれながら次の目的地へ移動。

次にやってきたのは現存する日本最古の近代吊橋「美濃橋」。
1916年(大正5年)に完成、長さ130m、幅3m。
以前は小型バスも通ったが、老朽化のため、今は自転車と人の通行しかできない・・・
Pi-子:・・・って聞いてたんだけど、通行できなくなってる!


美濃橋
全面通行止め!?

橋を管理している美濃市は木板を定期的に取り替えるなど補修を重ねてきたが、鉄骨、ワイヤーが部分的に破断していることが分かり、大規模改修工事が行われることになったそうだ。
我々も時間がなかったので、どのみち橋を渡ることはできなかっただろう。

長良川の清流と山をバックにした美しい赤い橋・・・改修工事がいつ終わるのかはわからないが、いつの日か再び地元の人たちの生活の道として活躍することだろう。

この時点で時刻は13:50。
あとは名古屋までノンストップで突っ走るぜ〜!

・・・と思ったが、美濃を出る前にトイレ休憩。
近くにあった"道の駅・にわか茶屋"で5分程度の休憩・・・のはずが、お土産を見たり、買い食いしたりで、なんだかんだ15分ぐらいは滞在してしまった。

(ピッキー)

(お役立ちリンク)
郡上八幡旧庁舎記念館 郡上八幡散策をするなら、まずここから。観光案内所や無料休憩所、食事処、土産物、レンタサイクルが揃っています。
さんぷる工房 郡上の町屋づくりの中で食品サンプルの製作体験が出来る工房です。 おみやげに食品携帯ストラップや食品マグネットなどの食品サンプルグッズが販売されています。
美濃市観光協会 美濃市観光協会の公式サイト。うだつのあがる町並み、祭り、名所・旧跡を紹介しています。宿泊案内もあります。