五箇山→白河郷


相倉集落(五箇山)



さて次の目的地は五箇山ライトアップ見学だ。
五箇山について予習してきたこと、合掌造り集落は2つあり、菅沼地区と相倉(あいのくら)地区。
ライトアップを行うのは菅沼地区の方で合掌造り9棟と小さい集落ながらも日本を代表する世界遺産の一つなのだ。
ちなみに世界遺産の合掌造り集落とは五箇山(富山県)の菅沼地区と相倉地区、白川郷(岐阜県)の荻町地区の3地区のみである。

○○ツアー限定のライトアップが始まる時間は夜の7時から。
となると、遅くとも6時頃には進入禁止等の処置がとられると思うので、4時頃には菅沼地区に入っていたい。
どちらにせよ、○○ツアーの参加者ではないので、出たとこ勝負だが。



五箇山ICを降りてすぐのところにある菅沼地区へ突入するが・・・
駐車場のおっさん:すみへん、今日は菅沼は指定車輌しか入れへんんや。
ダメか・・・ガードが固いな、○○ツアー。

Pi-子:え〜、入れないんですか?せっかく合掌造りを見にきたのに。ぶ〜、ぶ〜。
ねばるな、隊長。
駐車場のおっさん:合掌造りの家やったら、この先に「相倉(あいのくら)」という地区があってそっちでも見られますよ。
あえなく撃沈。

まる子:まぁ、でもせっかく来たんだから「相倉」へ行ってみようか。
Pi-子:そうだね〜・・・あ、途中にもう一ヶ所行ってみたい所があるなぁ。

事前にwebからダウンロードしておいた「五箇山観光マップ」を頼りに進む。

Pi-子:この辺なんだけどな〜。
ピッキー:いいかげんだな。(いつものことだけど。)
るむ:どこに行くの?
Pi-子:流刑小屋。この辺なんだけどな〜。
まる子:流刑小屋!?

江戸時代、加賀藩ではここ五箇山を流刑地と定め、明治維新までの約200年間に約150人の罪人が送られてきたのだ。
流刑地は人々が住む集落の川をはさんで対岸の断崖に作られ、逃亡を防ぐため、川に橋を掛けることは許可せず、川を渡るときにはぶどうのつるで作った大網に、篭を取り付けて往来していたのだとか。
五箇山には8ヶ所の流刑小屋があったのだが現存(とはいえ、復元)しているのはここだけ。
(籠の渡しは菅沼に復元したものがある。)

とりあえず、車が1台止められそうな場所を見つけたので、停車して付近を探すことにした。
るむ:うわ〜、道が水でびちゃびちゃ。
雪は止んでいたものの、水溜りなんてかわいいものじゃなくて、道が川のようになっていたのだ。
流刑小屋があるのは断崖というだけあって、現在では道路も舗装されているが急な斜面で、上の方から大量の水が流れてきている。

Pi-子:とりあえず前進あるのみだ。皆、足元(靴)の防水対策はできているな?
るむ:ばっちりよ!
まる子:私、普通の運動靴で来ちゃったから、大丈夫かな〜。

甘いぞ、姐さん、隊長=雨(今回は雪)、ということを忘れてはならない!

大将:オレの靴、防水機能はあるんだけど、なんか違和感。なんだろな?
2名、不安なことを言っているが例によって猪突猛進している隊長&るむさんについていく3人。

「流刑小屋この下」という案内板があったので、それい従い階段(滝のようになっている)を降りていくと、中ほどのところに古い小さな小屋が見えた。
あそこに違いない。

親切な案内板あれが「流刑小屋」だ

1963年(昭和38年)の豪雪により倒壊したものを2年後に復元、と聞いていたのでリニューアル流刑小屋になっているのかと思ってたのだが、いやいや〜、なんか独特なオーラを出している。
それもそのはず、倒壊した時の板をそのまま使って復元したそうなのだから。
近隣に一般の住宅が建っているのでこうゆうのも失礼だが、あまり夜遅くにここの前は通りたくない・・・。

間口2.77m、奥行3.63m、高さ3m、中にあるのはトイレのみ。
それと小さな小窓があるのだが、明り取りというわけでなく、牢番がここから食事を差し入れするだけだったのだそうだ。

流刑小屋にも、村落内であれば自由に出入りできる平小屋、一歩も外へは出られないようになっているお縮(しまり)小屋、 小屋の中にさらに狭い檻を作って身動きがとれない状態にする禁錮と3種類あったようだ。
主に政治犯の流刑地だったそうだが、罪状によってどのような小屋に決まったのだろう。
説明から察してもらえると思うが、ここにあるのはお縮(しまり)小屋である。

流刑小屋小窓を覗いてみると・・・

ちなみに小窓から小屋の中をのぞいてみると・・・
Pi-子:わっ!・・・これは心臓に悪い。

なんと、小屋の中には当時の罪人の人形(侍)が入っているのだ。
Pi-子:いやいや、愛の流刑地もびっくりだよ。(←意味不明)

すごく陰鬱な印象だが、お縮(しまり)小屋より緩い"平小屋"の罪人は地元の人に読み書きを教えたりして慕われた人もいたそうだ。
前述の通り、ここに流されたのは政治犯だったので、身分や位の高い武士も多かったのだろう。
女性では遊女の悲しい伝説がある。(「お小夜節」で検索してみてね)

さていよいよ相倉地区へ突入だ!
道草をくっていたので時刻は夕方5時、太陽もだいぶ傾いていた。
写真撮影にはこのくらいの時間がドラマチックだったりするのでこれはこれでいいと思う。
しかし雪こそ降っていないもののやはり天気は悪く、「どんより」としている。

相倉(あいのくら)集落合掌造りの民家

南北約500m、東西250mの細長い土地に32戸の住宅があり、うち20戸が合掌造り家屋となっている。
相倉集落に現存する合掌造り家屋の多くは、江戸時代末期から明治時代に建てられたもので、最も古いものは築200年(!?)にもなるのだそうだ。

さながらタイムスリップした感覚だ。
雪景色も良く似合う、非常に趣がある風景となっている。

ここはテーマパークでも、単なる観光地でもはなく、実際に人が住んでいる住居なのである。
現代的な生活をしながら、古い家屋を維持していく・・・これには頭が下がる思いだ。

この伝統を守り続けられたのは「結(ゆい)」といわれる地域住民同士の連携活動があったからだという。
しかし世界文化遺産に登録されてからは観光客も増えはしたが、高齢化や過疎化は緩慢ながら進行し、現在は「世界遺産相倉合掌造り集落保存財団」が設立され、 組織ぐるみでの保存対策がとられだしたそうだ。
例えば相倉の駐車場で車を停めると500円の駐車場代をとられるが、これは保存協力金ということで、建物の修復・維持にかけられるのだそうだ。

そうそう、駐車場といえば、横手から集落を眺められる展望台に行く道があるので、ちょっと行ってみよう。

(ここからPi-子)

相倉の突入してから、自然と男女のグループで別行動になってしまい、Pi-子、まる子、るむの3人は一番奥の民俗館まで行ってみるものの、すでに閉館時間を過ぎており、駐車場近くでまったり雪遊びなどをしておりました。
Pi-子:そ〜れ!(ぶわっ)
新雪の上に横たわると人型ができた。
Pi-子:やってみたかったんだよねぇ、こうゆうの。
るむ:いいねぇ、私もやってみようかな。ええい!
(両手を広げて雪の上に横たわる)

童心に返って雪遊び真ん中の豆粒のように見えるのがピッキー

まる子:Pi-ちゃん、ずいぶん日が落ちてきたけど、宿は何時ぐらいに行けばいいの?
るむ:宿泊は白河郷にある合掌造りの宿なんでしょ?
Pi-子:そうそう。特に連絡は入れてないんだよねぇ、ライトアップが見られるかどうか分からなかったし。時間が読めなかったから。今何時?
まる子:6時ちょい前。
Pi-子:う〜ん、ここから白川郷までだいたい40分ぐらいかな・・・余裕を見て7時ぐらいに行くって連絡しておこうか。


カバンの中から携帯を取り出す。
Pi-子:もしもし、今夜宿泊予約してます「チーム・アドベンチャー」です。今、五箇山の相倉にいるので到着は7時ぐらいになるかと・・・ え?夕食は6時半からと決まっている?・・・あ〜、そうですか、分かりました。ちょっと遅れるかもしれませんが、なるべく早めに行きます。(ピッ←携帯を切る音)
るむ:夕飯は6時半からなの?
Pi-子:そうなんだって。ピッキーは・・・展望台まで行こうとしているな?

雪の中の道があるんだか、ないんだか分からないようなところを上っているピッキーが見えた。

まる子:ピッキー1人なんだ。てっきり大将も一緒なのかと思ってたけど。
Pi-子:そうだよねぇ。大将はどこへ行ったんだ?
大将:おおい!

噂をしているとパーキングの方から大将がやってきた。

るむ:大将、どこにいたの?
大将:実は靴のソール(靴底)がとれてきちゃって。うっとおしいから切り取って駐車場のトイレに捨てちゃったよ。
まる子:え・・・足、冷たくないの?
大将:そりゃ、冷たいさ!
Pi-子:夕食の時間もあるし、ピッキーを呼び戻して撤収しよう。


(ここまでPi-子)

展望台までの雪道、日が暮れて気温が下がってきたせいか、ところどころ凍っていて、注意しながら必死で登っていたのだが・・・
ブルルルルルルルルルル
携帯(マナーモード)が振動し出した。
ピッキー:あい。
Pi-子:撤収するから戻ってきて!

せっかくここまで来たのに・・・展望台を目前に残念ながら断念。(;_;)

引き返す途中、雪の上に太い人型と細い人型を見つけた。
後から聞いた話と照合すると、前者はPi-子ので、後者はるむさんのだろう。

来た道を戻り、五箇山ICの手前で菅沼地区ではすでにライトアップが始まってのがちらりと見えた。
ピッキー:ライトアップがきれだよ。
るむ:運転している時はちゃんと前見て!

ライトアップ見学終了。

五箇山ICから高速に乗り、白川郷ICで降りる。
その時間約15分。夕食時間にはぎりぎり間に合いそうだ。

インターを降りて、白川郷・萩町地区に入るとこれまた一気にタイムスリップしたかのような風景が広がる。
相倉集落よりはさすがに大規模だ。
世界遺産として3ヶ所が選ばれたのは菅沼(小規模)、相倉(中規模)、白川郷荻町(大規模)という集落の多様性を示すためであったとも言われている。

お泊りの宿は合掌造りの宿「よきち」
夜の白川郷は街灯が少なくて、とても暗い。
いや、東京みたいに明るくても興ざめではあるが。

ピッキー:「よきち」はどこや?
Pi-子:う〜ん、夜だからわかりにくいな。

例によってしばし道に迷っている。(-゛- )
カーナビも設定したのだが、例によって「目的地付近です」と言われ、案内を終了している。

合掌造りの宿・・・といっても合掌造りの家だらけなので目印にもならない。
途中、観光協会の駐車場に車を止めてしばしの確認。
るむ:(観光協会の地図を見ながら)この細い道を入ってすぐのところじゃない?
Pi-子:・・・やはりな。

分かってるんだったら、ちゃんと案内せんかい!!(- -#)

再び車に乗り「よきち」へ。
ピッキー:右側?左側?
Pi-子:左側・・・だったかな?

・・・もはや、何も言うまい。

るむ:行き過ぎじゃない?観光協会の地図ではもうちょっと近かった気がする。
なぬぅ!?(-゛-;)
Pi-子:右側だったかも・・・ちょっと車停めて。歩いて探してみる。


「よきち」はすぐに見つかった。
ちょうど、2,3軒先を通り過ぎたところだったのだ。
ちなみに進行方向から右側だった為、もはや何度目か分からんが、またPi-子隊長に騙されたことになる。

駐車場に車を停め、いざ「よきち」へ。
なんか岩手の「苫屋」へ行ったときに似てるな。(岩手編参照)
あの時も到着が遅くなり、なんとかたどり着いたという印象だ。

Pi-子:たのもう!チームアドベンチャーでござる!!
女将:おう、らっしゃい。

気のいい女将に出迎えていただいた。

風情のある外観に比べて、中の部屋はいたって普通な感じだ。
しかしながら「こたつ」はなかなかいい味を出している。
中央にカゴとその中にみかんが入っていれば最高なのだが・・・それは自己責任(?)ということか。

夕食の準備はすでにできていたので、部屋に荷物を置くとすぐに食堂(居間)へ。
居間には暖房も液晶TVもある。
う〜ん、古民家としてのリアル度(?)では苫屋の方が一枚上というべきか?
しかし、古い蒔きストーブがあるあたりは古民家の意地(?)というところだろう。

すべて自家製の大満足な夕食古い蒔きストーブとおかわりする大将

食事は米からおかずの野菜、味噌汁の味噌まで全て自家製だという。
歴代アドベンチャーツアーの中でもトップクラスにランクされるうまさだ。
さらに激ウマの味噌汁はおかわり自由というサービス。
まさに至福のひととき。

隣のテーブルは外人さんのグループ。
どこから来たのか聞いてみるとフランスということだった。
ピッキー:ボンジュール!
大将:ボンソワール!
Pi-子:ジュテーム!!

若干一名ウケ狙いだったようだが、軽くスルーしてくれ。

ちょっとした国際交流をしながら夕食を食べ終えると・・・チーム・アドベンチャーの1日はこれで終わらない。
ピッキー:ライトアップはやってないとはいえ、夜景を撮りに行きたい。
まる子:いいけど、外は寒そうね。
Pi-子:お風呂どうする?帰って来る頃、終わってるかもしれないよ。
るむ:でも、入ってから行くと湯冷めしそうじゃない?


白河郷の夜景
女将に聞いてみよう。
女将:お風呂は22:00まで点けてますので、夜景を先に見てきたほうがいいですよ。この街は夜が早いから、それぞれの家が灯りを消したら本当に真っ暗になっちゃいますよ。

女将の話を聞いて、急ぎ車で城山展望台(荻町城跡)へ行くことにした。
ここからは荻町合掌集落を一望することができるので、白川郷を紹介する雑誌やパンフレットなどはここから撮影されたものが多い。
「ひぐらしのなく頃に」ではに梨花ちゃんのお気に入りの場所と紹介されている。

ライトアップはやっていないが普通の夜景でも実に趣がある風景だ。
窓から漏れる明かりだけが見えるというのも生活感があって実にいい。

まる子:星もきれいだよ。
ロマンだなぁ。

宿に戻ると女性陣から先に風呂へ。
そろそろ裸のおつきあいもいいと混浴を提案したいのだが・・・なぜか今回も却下されてしまった。

その間、近隣の夜景を撮りに出かけてみたが、なかなか思ったような構図を見つけることもできず寒さで早々に宿に戻ってきた。
大将:おかえり〜、女性陣まだ風呂だよ。
ピッキー:大将は何やってたの?
大将:ゲームだよ。明日は白川郷観光だろ?予習になるかと思って。

予習になるかな?

女性陣があがってきた後、我々2人も風呂へ。
浴室からはふんわりとヒノキの香りが・・・

これはヒノキ風呂なのか・・・と思ったら、ユニットバスに木目プリントがされており、ヒノキの香りはヒノキの石鹸、シャンプーを使用していた。
大将:なんちゃってヒノキ風呂だな。
追い炊き可で、温度設定もばっちりきいているので快適ではあるが、古民家ならではの風呂・・・たとえば五右衛門風呂なんかあるといいかなぁ。
もっとも個人でやっている民宿なのでつきっきりで火加減を調整なんか難しいのだろう。

風呂から上がると、朝が早かったせいか、宴会もなくバタンキュー。
布団に入ると電気アンカを仕込んでいただいていた。
さりげない配慮がうれしい。

(ピッキー)

本日のお宿 : 合掌の宿 よきち
〒501-5627 岐阜県大野郡白川村荻町351
TEL:05769-6-1417
FAX:05769-6-1854



(お役立ちリンク)
 富山県南砺市の観光地を紹介するサイトです。ちなみに「いこまいけ」とは富山県で話されている方言で「行こう」という意味だそうです。
 相倉合掌造り集落保存財団のweb。合掌造り住宅の説明、観光案内が充実しています。風景が見られるライブカメラもあり。