銚子2日目〜犬吠崎灯台・銚子電鉄・外川ミニ郷土資料館〜


銚子電鉄・犬吠駅とキャベツ畑

翌朝、朝5時30分。
眠い目をこすりながら日の出に向けて犬吠崎に向け出発。
目的地は昨日に続き本日のメインイベント、作戦名「サンライズ・イン・銚子」を実行する時がやってきたのだ。

今回のお宿「あしか荘」からは車だと5分ぐらいで到着。
とりあえず犬吠崎灯台の近くに適当に駐車場に車を止める。
観光地の駐車場だが、こんな早朝では当然のごとく誰もいない。

Pi-子隊長:ここ、停めていいのかな?
ピッキー:ま、放置駐車するわけでもなくちょこっとだからいいだろう。

そう言いながら車に出る。

さ・・・寒い

天気は快晴そのもので問題ないのだが、冷たい風が容赦なく吹き付ける。
ここで我々は致命的なミスを犯したことに気が付く。

大将:で、どこで日の出見るんだ?
そう、前日のロケハンを怠ってしまったためにベストロケーションがよくわからなかったのだ。

Pi-子隊長:太陽はどこから昇るんだっけ?
大将:東だ!
ピッキー:正解だ!
るむ:こっちじゃなぁい!
まる子:じゃあ、あっち?


とりあえず、まるちゃんの指差した方へ移動する
まる子:なかなかいい場所だと思ったんだけど・・・
ピッキー:ここからだとあのホテルがジャマで犬吠崎灯台が見えないな
るむ:写真を撮るには灯台も入れたいね
大将:あっちはどうだろう?


侃侃諤諤(かんかんがくがく 意味:大いに議論するさま)と喧喧囂囂(けんけんごうごう 意味:多くの人が銘々勝手に発言してやかましいさま)は続き、 それぞれが思う方向に実際に歩いてポジションを探す。

るむ:この辺ならどうだろ?
ピッキー:いいね。遮る建物がなく海と灯台が写せる

文字通り、右往左往した我々だが、ようやくベストポジションまでたどり着けた。
見晴らしがいい場所→高い所、という思い込みがあったのだが、逆転の発想で浜辺(低い所)へやってきたのだ。

砂浜に三脚を差し込み、その上にカメラ固定させる。
この日の為に自宅の暗い部屋の中で三脚を立てカメラのセッティングを訓練したかいがあった。
暗い部屋の中から外に向かいカメラを構える姿は犯罪者さながらであったがその苦労も報われると言うものだ。

モニターを見ながら、試しに月を撮影。
おおっ、望遠でクレーターまで写るんだ!ちょっと感動。

そろそろ空が明るくなってきた。
水平線には雲がかかっているので、海からの日の出は見えそうも無いが、空が雲で覆われているわけではないので、日の出は見えるだろう。
昨日の危機的状況よりはだいぶマシというものだ。

徐々に雲の間から光が射してきた。
お待ちかねのご来光だ。

日の出と犬吠崎灯台作戦名「サンライズ・イン・銚子」成功!・・・さ、寒い

パシャ、パシャ、パシャ

おれは一眼レフデジカメのセッティングを気にしながらシャッターを切っていく。
その横で隊長はコンパクトデジカメで適当にシャッターを切っていく。

太陽は姿を見せ始めたかと思うと一気に昇っていき、空は明るくなっていた。

Pi-子隊長:どうだ皆の衆 心が洗われるであろう?
まる子:寒い
るむ:寒い
大将:さすがに寒い
ピッキー:手がかじかんできて、これ以上シャッター押せない

達成感につつまれるはずが、寒さが限界に達していたご一行

Pi-子隊長:目的達成セリ!すみやかに撤収!!
一同:アイサー

隊長の掛け声で車に戻るとほっとした雰囲気が車内を包んだ。
それはきっと我々の場合、普通に生活をしていれ日の出を見ることも年に1回あるかないかの貴重な体験であり、それを各々が感動と共に噛みしめている時間だったのだろう。
頬が高潮しているのも、目をつぶっているのも、寒かったから、朝早くて眠かったから・・・なんてことではないのだ。
きっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

宿に戻り、女性陣は風呂へ、男性陣はもう一眠り。

再び目が覚めると、お待ちかねの朝食。
昨夜の夕食に続き、朝食もまいう〜ながら例によってボリュームたっぷり。
まる子:お腹いっぱい
るむ:私も、もういっぱい
Pi-子隊長:じゃあ、これも大将にあげる

大将が女性陣の分までカバーしつつおなかいっぱいたいらげる。
昨夜も見たような光景。まるでデジャブー

ボリュームたっぷりの朝食お世話になりました「あしか荘」

ちょっと食休みをしてからチェックアウト。
Pi-子隊長:2〜3時間ぐらい駐車させてもらっていいですか?
ホテルの従業員:いいですよ。
Pi-子隊長:ここまで来たから銚子電鉄に乗ろうかと思ってるんですよ。

これまでの足は車だったが、ここからは鉄ちゃんに早変わり

ホテルの従業員:うちは駅からも近いし、ぜひ乗ってみてください。次の電車ですが・・・(時刻表を見ながら)あ、ちょうど行っちゃたばかりですね。
君ヶ浜海岸沿いをちい散歩
Pi-子隊長:次は何分後ですか?
ホテルの従業員:30分は来ないです。海岸沿いを歩いていって隣の「君ヶ浜」かその次の「犬吠」から乗ってもいいんじゃないですか? 天気もいいし。


従業員さんのお薦め通り、海岸を歩いていくことにした。
ここからは鉄ちゃんに・・・ではなく、ちい散歩に早変わり。

外は見事な青空で気持ちがいい。
まる子:気持ちいいけど、日に焼けちゃいそう
るむ:油断した。今回は日焼け止め持ってこなかった〜

・・・なんて言っている者もいたが。

君ヶ浜駅へはすぐに着いてしまった為、そのまま歩き犬吠駅へ到着
犬吠駅の駅舎は外観はひなびたローカル線に似つかわしくない西洋風でおしゃれな小さな建物。
なんでもポルトガルの宮殿をイメージしたということで、1997年に関東の駅百選の第一回選定26駅の一つに選ばれている。

銚子電鉄の中で、最も観光客が多く訪れる駅というだけのことはあり、駅舎の中で名物のぬれ煎餅や記念入場券などの観光土産が売られている。

タイミング悪く、ここでも電車は行ったばかり
Pi-子隊長:外川まで歩いていってもいいけど、せっかくだからそこの喫茶店で一休みしながら次の電車を待ってようか。
犬吠駅の駅前広場には廃車になった電車の車体を利用した喫茶店「かふぇ・ど・えがお」があるので、そこで一休みしようというのだ。

この喫茶店はNPO法人「スマイル銚子」が運営している福祉喫茶で、障害者の就労支援として数名の障害をもった方が働いている。
カレーライスとソフトクリームが人気メニューだそうだが、あいにく朝食食べすぎ、天気はよかったが風が冷たかったので、暖かい飲み物をオーダー。
古い車輌でまったりしていると気分はさながらメーテル&鉄郎。
レトロな柱時計などインテリアも味があり、店名通りの従業員の方の「えがお」が暖かく、なかなかいい店だ。

おしゃれな犬吠駅喫茶店「かふぇ・ど・えがお」

約30分が経過、ここでまったり過ごすのも悪くはないが我々には常に使命がある。
次の作戦、その名も「銚子のルーツは紀州にあり」を実行するため、銚子電鉄に乗り外川へ。

外川へ移動中の間に銚子電鉄について説明しよう。
もっとも地方ローカル線の中では、かなり有名なのでご存知の方も多いと思うが

銚子電鉄を有名にさせたのは2006年8月に発覚した前社長の約1億1000万円の横領事件である。
これによって経営が悪化、運転資金不足が生じ、同年11月に車両の検査が出来ない事態に陥ったのだ。
同社は11月15日、ウェブページ上で「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という文章を掲載して、ぬれ煎餅の購入などによる支援を呼び掛けた。
この事はマスコミなどで報道され、車両検査の目途が立つまでぬれ煎餅を売り上げ、廃線の危機は脱したのだが・・・

車両検査の目途はついたが、鉄道設備の老朽化はかなり深刻な状況であった。
踏切や枕木の約1500本に腐食などが確認された上、場所によっては列車が通過していないにもかかわらず遮断機が上がってしまうなどのトラブルもあったため、国交省は安全確保に関する改善命令を出して銚子電鉄に改善を指示した。

これらの問題の解決するため、2007年1月に有志が「銚子電鉄サポーターズ」を設立。
改善命令に基づいた枕木交換や、踏切設備等の改善に限定したサポート基金の募集、集まった資金で交換・修理を行ったのだ。
2008年5月、銚子電鉄サポーターズは支援の成果を上げたとして、休止を発表したが、今後も存続し、支援活動は継続するという。

余談だが、メジャーリーグのインディアンス(当時千葉ロッテマリーンズ所属)の小林雅英がサポーター会員第1号となり、サポート基金への協力を呼びかけた。
また、ゲームメーカーのハドソンが支援活動の一環として、自社ソフト「桃太郎電鉄」のキャラクターイラストが描かれた"「桃太郎電鉄」ラッピング電車" を運行している。

車掌:外川〜、外川〜
外川に到着。
ホームに降りると、1923年(大正12年)の開業当初から残る木造の駅舎が出迎えてくれた。
レトロな駅舎はこれまでに、NHKの連続テレビ小説「澪つくし」をはじめ多くのドラマや映画、プロモーションビデオなどのロケ地として活用されている。

レトロな外川駅昭和の香りがしますね


まずは駅から徒歩1分の「外川ミニ郷土資料館」に突撃。
Pi-子隊長:こんにちは〜
入り口に「入場は無料です。入るときに一声かけてください」と書いてあったので、あいさつをしながら入るが返事はなし。
案内人の館長は不在なのか?

大将:無料だし、中を見せてもらうにはいいだろ
"ミニ郷土資料館"というだけあって、広くはないが古い漁具や大漁旗、他にも貝殻、絵、写真、銚子電鉄サポータグッズ・・・などなど所狭しと並んでいる。

るむ:すごい豪華な"はっぴ"があるよ
館長:それは「万祝(まいわい)」といって漁師の晴れ着だよ。大漁の年にはボーナスとして船員に贈られたのよ。

いつの間にか館長が戻ってきていた。

まる子:こっちの桶は漁った魚を入れておく物ですか?(昨日「房総のむら」で見た)
館長:それは「メンパ」っていう、昔の漁師さんのお弁当箱みたいなものね。これを網に入れバッグのように持ち歩いて 食事した後、空になった箱は、浮きとしての役割も果たしたのよ。
一同:へ〜〜〜〜
(トリビア)

館長の話は続く。
「銚子のルーツは紀州にあり」それは前回、ピッキーとPi-子が銚子を訪れた時に館長から聞かされた話である。

1658年、時は江戸時代初期、海難に遭った崎山治郎右衛門が助けてくれた人々に恩返しをしようと故郷の紀州(和歌山)から漁師を呼び寄せたことから始まる。
紀州からの移民は地元の漁師に漁業技術を教え、また外川漁港建設に尽力し、村は「外川千軒大繁盛」と言われるほど繁盛した。

醤油も紀州から伝わってきたもの。
ヤマサ醤油は1645年濱口儀兵衛が、紀州から銚子へ移り、醤油の製造販売を始めたものなのだ。
同郷・崎山次郎右衛門の成功に刺激されたとも、銚子の醤油つくりに適した気候に目をつけたともいわれているが、真偽の程は不明。 (両方じゃないかと思うが)

以来濱口家の家長は代々紀州の本家と銚子を行き来したのだそうだ。
今のように新幹線や飛行機があるわけじゃないのに銚子と和歌山を行き来なんてたいへんじゃないの?と驚くが、実は思ったより簡単だったようだ。
その秘密は黒潮。
昔は船が主な交通手段だったため、和歌山県から船に乗ると、黒潮の流れで、自然と銚子に辿り着くそうだ。 (難破した崎山治郎右衛門が銚子にたどり着いたのはそのためだと思われる)

館長:この地は紀州からの移民で成り立っているんだよ。
一同:へ〜〜〜〜
(トリビア再び)
銚子市在住で和歌山出身者は、濱口、崎山、山口・・・など、名字で殆ど分かるそうだ。

館長:外川の街も崎山治郎右衛門によって街づくりされたもので、きれいな碁盤目状になってるのよ。時間があったらちょっと見てきたら?
館長の薦めでちい散歩アゲイン。
外川漁港までいってみることにする。

やや急な斜面に整然と区画されて残る古い街並みはなかなか風情があるものだ。
坂道を下っていくと、民家の屋根瓦や電信柱の上の高さに海が見えて、こうゆう風景もおもしろい。
昔は「外川千軒大繁盛」と言われるぐらい繁盛していた外川漁港だが、その後のイワシの不漁により 今ではすっかりさびれてしまっている。
実際、人よりカモメの方が多いぐらいだ。

外川の坂道外川漁港

Pi-子隊長:でも、まぁ、こうゆうのも趣があるというものだろう、皆の衆?
まる子:寒い
大将:暖かいもの食いてぇ
ピッキー:シャッター押すために手袋外してたから指先の感覚がない
るむ:早くミニ資料館に帰ろうよ

・・・こんなんばかりである。

もうちょっと外川の街をぶらり旅する予定だったが、あまりの寒さ(天気はよいのだが)の為、早々切り上げてミニ資料館へ戻ることにした。
るむ:あ〜、寒かった。
と言いながら、ミニ資料館を開けると、なんと母娘連れの2人が資料館の中でお刺身定食を食べているではありませんか?

話を聞くとこちらの母娘、季節ごとに訪れるぐらいの常連さんで、いつもここでランチをしていくのだとか。
実はこの資料館は活魚問屋「島長水産」の店舗兼自宅の一角にあるのだ。
付近の有名観光ホテルにも納品している名門問屋で、初めて活魚を東京市場に出荷したのだそうだ。
ちなみに館長は先代のおかみさんであり、現在、お店は息子(4代目)が仕切っている。

資料館とか博物館という場所は、普通は飲食禁止が当然といってもさしつかえないが、資料館でランチとは・・・そのおおらかさがまたイイ!
昔ながらの貴重な資料に囲まれながら刺身を食すというのもまた一興といえよう。
但し、飲食店ではないので、ここで食事がしたい!という方は事前に連絡して確認してください。

館長:どうだった、外川の街は?
ピッキー:昔懐かしい風景がよかったですよ。漁港は寂れてましたけど。
館長:そうなのよね〜、最近じゃあ漁獲量が全般に減ってきている上、後継者がいなくて廃業しちゃう人も多くてねぇ


この資料館は公の機関で経営しているものではない。
「外川の魅力を多くの人に知ってほしい」と、先述の通り館長と館主(4代目)が自分の敷地の一部を資料館とし、展示されている資料のほとんどは、 地元の漁師や知人、友人が持ち寄ってくれた品々なのだ。
そんな風にどんどん展示品が集まってきて、現在、収蔵品はなんと5000点。
全部を展示しきれないのが目下の悩みらしい。

館長:「こうして商売ができるのは外川の人たちのおかげ。いつか恩返しをしたい」ってお父さん (3代目)がよく言っててね。この資料館はお父さんの遺志を継いだってところね。
なんだか、どこかで聞いたような話だ・・・奥多摩・あきるののおばちゃん(おばあちゃん)たちは元気だろうか?(奥多摩・あきるの編参照)
今の日本を支えているのはオレたち働き盛りの世代でも、ましてや政治家や官僚ではない。
こうした地域のおばちゃんたちが支えてくれているのだろう。

銚子と紀州のことなど、インターネットで検索したり、アマゾンで本を探して買えば分かることかもしれない。
しかし活字ではなくそこに実際長く暮らした人の生きた話がここにある。
銚子に来たら、ぜひ外川まで足をのばしていただきたい・・・銚子電鉄に乗って。

まる子:ところで、こちらって小売もしていただけるんですか?お土産用の干物が欲しいなぁ
館長:いいわよ、何が欲しいの?

さすがはまる姐さん、いや、お買い物の女王。

Pi-子隊長:私も。車借りてるから実家へのお土産と・・・秋田(ピッキー実家)にも送るでしょ?
これに大将、るむちゃんも加わってお土産購入タイムとなった。

資料館の裏手(本来こちらが表なのかもしれないが)へまわると大きないけすとおおきな犬(わんこ)がいた。
るむ:すごい凛々しい犬だよね
ピッキー:こんなに見知らぬ人がいたら吠えられそうなもんだけどね。

実に威風堂々とした犬である。

わんこの品格わんこ様に遊んでもらう

まるちゃんとPi-子がお土産購入している間、我々はこの犬(わんこ)に遊んでいただいた。
Pi-子隊長:お待ちどうさま、そろそろ行こうか?
ピッキー:
(犬に向かって)じゃあな、またな

そう言って犬に背を向けた時
犬(わんこ):おぬし、外川が気に入ったらまた来るがよい

そんな声が聞こえたような気がした。
なぜかその声は北大路欣也(ソフトバンクお父さん犬)だった。




(お役立ちリンク)
銚子電気鉄道株式会社
銚子電気のサイト。時刻表、運賃情報。喫茶店「かふぇ・ど・えがお」の案内。ぬれ煎餅、でんでん酒などのオンラインショップもあります
銚子市観光協会のサイト。宿泊、食事、おすすめコースなどなど、さまざまなテーマで、銚子を紹介しています。市内マップもあります。
外川ミニ郷土資料館のページもあり、館内の展示物についてはこちらをご覧ください