アンコールトム(Angkor Thom)
微笑みを浮かべる四面仏
現地ガイド:おはようございます。今日は最初にアンコールトムへ参ります。
さぁ、今日も遺跡めぐりだ。
アンコール王朝最後の都、アンコールトム。
12世紀末から13世紀にかけてジャヤヴァルマン7世によって造営された物で、周囲12km(1辺が3km)、高さ8mの城壁で囲まれた、外敵からの守りを意識してある強固な城塞都市である。
城内の中心にはたくさんの菩薩の顔を刻んだ仏教寺院のバイヨンがあり、柔らかな笑みをたたえる四面仏があることで有名。
なおアンコールワットはヒンドゥー教寺院として建てられ、仏教寺院へ改宗したが、アンコールトムはその逆で、仏教寺院として建てられたが、王の死後、 ヒンドゥー教寺院へと改宗されている。
アンコールトム南大門
昨日訪れたアンコールワットを通り過ぎ、カンボジア独特の密林と乾いた大地の中をしばらく車で走るとアンコールトムに到着。
現地ガイド:アンコールトムには5つの城門がありましたが、そのうちの1つ、南大門から歩いて入ります。
アンコールトムは城壁で囲まれていたので5つの門だけが外部へ通じていた。
それぞれ南大門、北大門、西大門・・・とあるが東側には死者の門と勝利の門の2つがあり、戦争に勝利した時には勝利の門を通り凱旋、 戦死した者の魂はこの門を通ってアンコールトムへ帰ってくると考えられていたそうだ。
てくてくてく・・・南大門をくぐってしばらく直進。
南大門からバイヨン寺院までは約1.5kmの距離。
車でいけばすぐに着くけれど、密林の中を歩いて行くのも森林浴だし、いい感じ。
もっとも南大門の近くには輪タク(バイクタクシー)のお兄ちゃんたちが「バイヨン寺院まで乗っていかないか」と声をかけてくるし、物売りのオバちゃんやら子供なんかも寄っては来るのだが・・・
こなつ:でも、みんな引き際がいいよね。
Pi-子:やっぱりそう思う?以前行ったインドや中国なんかと大違いだよ。
こなつ:インドなんか観光地に着くと囲まれて怖かったよ。
Pi-子:中国は土産物を買わないと「ケチ」とか「バカ」とか言われて嫌な思いさせられるし、乞食なんかお金あげるまで離れないし・・・
輪タク兄ちゃん&物売りオバちゃんらとの物足りないバトルについて語っていると、某遊園地の「ビックサンダーマウンテン」みたいなゴツゴツした岩山が見えてきた。
現地ガイド:ここがアンコールトムの中心にあったバイヨン寺院です。バイヨンには第一回廊と第二回廊がありまして、第一回廊には人々の暮らしや 戦争を描いたレリーフが、第二回廊に「クメールの微笑み」と呼ばれる有名な菩薩様の像があります。
バイヨンの入り口
軍隊の行進 輿に乗っているのが王様
庶民の暮らし 狩りへ行く人(左)と出産シーン(右)
海戦の様子 ワニに食べられている人
かなり大きいんですよ
角度を変えると怒っているようにも
アンコールトムの第二回廊は第一回廊よりも高い所に位置(二階建て?)されていたけど、アンコールワットよりも傾斜がなだらかで登りやすかった。
しかしアンコールワットよりも予算が少ないのか、壁(レリーフ)に亀裂があったり、陥没していたり・・・崩れないといいんですけどね。(^_^;A
修復中のパブーオン(隠し子?)寺院
現地ガイド:次は「パブーオン」へ参ります。
パブーオンとは「隠し子」という意味で、こんな謂れがある。
昔、シャム王から自分の子をカンボジア王に預けたいという申し出があり、カンボジア王は快く受けれたが、廷臣たちが「何かの罠に違いない」と疑い、シャム王の子を殺してしまった。
それを聞いて知って怒ったシャム王は大量の軍をカンボジアへ攻め込ませた。
この時、カンボジア王妃が自分の子をこの寺に隠し、守ったので"パブーオン(隠し子)寺院"という名前になったとか。
こなつ:ガイドブックにも「隠し子」って書いてあるけど、それなら「子隠し」のがいいよね。
Pi-子:うん、「隠し子」っていうと「スクープ、○○に隠し子発覚!」って感じ。
東塔門をくぐると、まっすぐに伸びた参道と奥に寺院が見える。
現地ガイド:この参道は「空中回廊」と呼ばれ、高さ2mの柱に支えられています。寺院の手前までは行けますが、中は現在修復中なので入場はできません。
中には入れないと言われても、ここまで来たのだからと、行けるところまでいってみようと空中回廊の上を歩く。
パブーオンを仏教の宇宙観で世界の中央にそびえるという山、須弥山にみたて、参道は地上と須弥山をつなぐ橋「虹のかけ橋」とも呼ばれているそうだ。
こなつ:ファンタジーなネーミングだね。
Pi-子:つーか、ドラクエ?昨日から遺跡だの、荒野だの、密林だのってなんかRPGやっている気分になってきた。
200mに及ぶ「虹のかけ橋」を途中まで行ったところでロープが貼ってあり"立ち入り禁止"となっていたので、写真をとって引き返す。
太陽が高くなってきて、暑い。
ところどころ密林はあるものの、遺跡の周りは日陰がないので汗だくになってきた。
現地ガイド:次は「象のテラス」と「ライ王のテラス」へ参ります。
経験値の低い私としては「回復の水」が欲しいところですが、もう少しでお昼と思ってかんばります。(ペットポトルの水はなくなりました)
パブーオンの東塔門を出て本当にちょ〜っと行ったところに象・象・象・・・象のレリーフが横一列に並ぶテラスがあった。
その長さは350mにも及ぶそうだ。
350mに及ぶ象のテラス
象の彫刻が延々と続く
途中から「ガルーダ」のテラスになっています
インド神話に登場する神鳥・ガルーダ
「象のテラス」のすぐ横、ガルーダのレリーフが途切れたところに「象のテラス」より一段と高い「ライ王のテラス」がある。
高さ6m、一辺の長さは25mほどで、テラスの南東部は二重の壁があり迷路のような構造になっている。
テラスの上には高さ約1mのライ王の座像(レプリカ。本物はプノンペン国立博物館にある)があり、像のモデルはジャヤヴァルマン7世ともヤショヴァルマン1世とも、 はたまた口の端に牙が見られることから閻魔大王とも言われているがいずれも真偽不明。
また"ライ王"と呼ばれているのは「王(ジャヤヴァルマン7世のことかヤショヴァルマン1世のことか分からず)が毒蛇を退治した時に返り血を浴び、ライ病(ハンセン病) になった」 という伝説も残されているがいずれも真偽不明。
ま、謎の多い建物ってことですね。
ライ王のテラス
ライ王の像(レプリカ)
ライ王のテラスの二重の壁の内側にもナーガ(蛇神)のレリーフなどがあり、壁に見とれながら歩いていると曲がり角に足のない、ボロボロの服をまとった人 (物乞いをしていたのではないかと思います)が座っていたのでビックリ。
あやうく踏みつけてしまうところでした。(^_^;A
足元にも注意が必要なようですよ。
これにて午前の観光は終わり!!
お待ちかねの昼食〜♪
っていうか、ねじきじゃないので食べることよりも水が飲みたいって思った。
追記:像のテラスの後ろ(西側)には王宮跡があります。行ったと思うんですけど、あまり印象も写真もないのでよく覚えてないです。m(_ _)m
(Pi-子)