熊野速玉大社・熊野那智大社へ


那智の滝

3日目

大将:素泊まりだから朝メシがないんだな。
Pi-子隊長:新宮市の中心を通るから開いているお店もあるんじゃない?
…と思ったが、めぼしいお店が見つからず、今日最初の目的地、速玉大社に到着。

熊野速玉大社は、熊野三山(本宮・新宮・那智)の一社として全国に祀る数千社の熊野神社の総本宮。
主祭は熊野速玉大神と熊野夫須美大神。
熊野本宮大社に対して速玉大社のことを「新宮」と呼ぶが、創建年代は分からないぐらい古い。

熊野三山の社務を統括する熊野別当(くまのべっとう)の本拠が、この新宮の地におかれたこともあって新宮の速玉大社は特別の地位を占めるようになったそうだ。

ちなみに熊野別当(くまのべっとう)とは、紀伊半島南部の各地の浦々を拠点として活動し、瀬戸内海の制海権を掌握していた熊野水軍のトップ。
軍と言っても現代の海軍のようなものではなく、水先案内や警護をしたり、輸送船から通行料を取ったり…通行料を支払わない船に対しては 海賊行為をしたそうで、そんな荒くれ者たちを束ねていたのが、別当。
しかし、それじゃあ民間の警備会社と○クザと海賊を足して割ったようなもんじゃん〜と侮るなかれ、平安時代には平治の乱(1159)では平家方に、屋島・壇ノ浦の源平の決戦には源氏方につくなど、ときの権力を左右する力をもっていたのです。

ピッキー:おお、朱塗りの社殿がビューティフォー!

美しい朱塗りの神門社殿全景 青い空とのコラボがグッド! 

Pi-子隊長:ま、しかし、なんだな、こう天気がいいといいね。今までなかったかもしれない、こんな晴天。
マコ:隊長、今回はどうしたんだ?
Pi-子隊長:どうもこうも…そもそも雨女なんて科学的な根拠は何もないわけだからさ。
ピッキー:まだまだ科学では説明できないことも多いんだよ。
まる子:これだけ天気いいと逆に疑っちゃうね、後で大雨降るんじゃないかと。
信じる者は救われるんだよ・・・たぶん。

境内には拝殿を出てすぐ右側に見える大木。
高さ20m、幹回り6m、国指定天然記念物の梛(なぎ)のご神木です。
平重盛(平清盛の長男 享年41歳。もうちょっと長生きしたら歴史は変わったかもしれない、と言われている人物)のお手植と伝えられており、これが事実だとしたら、樹齢800年以上!

梛(ナギ)は凪(風が止んで波がなくなり、海面が穏やかになった状態)に通じることから、家内安全のお守りとされ、熊野詣の証に小枝を持って帰って、災難除けにしたのだそうです。
またナギの葉は縦方向だけに葉脈があり、横にちぎれないことから、男女の縁が切れないように、夫婦円満・縁結びにご利益があると言われていますよ。

国指定天然記念物の梛(なぎ)のご神木熊野神宝殿の前にたつ武蔵坊弁慶の像

先に熊野別当の話をちょいとさせていただきましたが、おそらく歴代別当の中で最も有名なのが21代別当湛増(たんぞう)という人物でしょう。
(私はKOEIの乙女ゲー「遙かなる時空の中で3」で知りましたけどね)

屋島・壇ノ浦の源平の決戦の前に源氏・平氏双方より助力を請われた湛増は、どちらにつくべきかの決断を闘鶏の結果で決めたと言われています。
あるいは、義経の従者・武蔵坊弁慶が湛増の子であるという伝承もあり・・・いずれにしても真偽のほど不明。

大将:なんだ、朝食が食えそうな店はないな。
Pi-子隊長:う…うん、市内だし、観光地でもあるから、もっとお店あると思ったんだけどな。
マコ:途中にす○屋(有名チェーン店)ならあったよ。
まる子:え〜、ここまで来てす○屋っていうのもね。
ピッキー:次の行き先、那智大社の方に行ってみるか。
Pi-子隊長:那智大社の近くにマグロのお店があるみたいで、食べロ○によるとそこなら8時半から営業しているみたいだけど。
マコ:食べロ○、アテにならないけどな…昨日のこともあるし。
ピッキー:とりあえず行ってみよう!


那智大社・大門坂駐車場にほど近い「ねぼけ堂」へ行ってみる・・・が
店員:すみません、お食事は10時半からになります。
マコ:やっぱり、そんなことだろうと…

お店自体は営業していたので期待はしたのですが…(お土産店のみ8時15分より営業)

ピッキー:どうする?
Pi-子隊長:30分待っている時間があるなら先に進もうか。


マップを見ると大門坂入口に向かう途中に「大門坂茶屋」との表記あり。
ここで何か軽く食べられるかも…と思ったら

大門坂茶屋 平安衣装着付け体験?振ヶ瀬橋(ふりがせばし)


大将:食いモンなさそうだな。
上にも何軒かお土産屋さんがあるし、先に進みますか。

大門坂茶屋の手前には、これまた朱塗りの手摺が美しい振ヶ瀬橋(ふりがせばし)があります。
「聖域」と「俗世」を振り分ける橋というこで、この橋を越えたら那智大社の聖域。
なので、橋を渡ったら「あー腹減った、なんかうまいもん食いてぇ」なんて俗っぽいこと言ってはダメなんですよ。(特に大将)

大門坂茶屋を越えると見えてくるのは立派な杉並木。
「夫婦杉(めおとすぎ)」と呼ばれる老木は推定樹齢800年を言われています。
高さが55m以上、幹周りが8m以上の立派な杉の木です。


多富気王子(たふけおうじ)跡
夫婦杉(めおとすぎ)

夫婦杉を過ぎると那智大社へ入る前の最後の”王子”「多富気王子(たふけおうじ)」があります。(王子については2ページ前をご覧ください)。
この多富気(たふけ)王子は、樹霊や峠の神仏に「手向け(たむけ)」をした場所という意味で、本宮の祓戸(はらいど)王子のように、那智山の霊所に入る前に身心を清める場所であったと考えられています。
江戸時代にはここに王子社(社殿)があったそうですが、明治に入ってから那智大社の摂社の一つとして境内に移され、ここには石碑が残るのみ。

心なしか俗世の空気と違うような両側に杉並木の石畳の道が続く

大門坂のこの道は昔の面影をもっともきれいに残しているところで、古来から多くの人々が熊野詣に通った石畳がそのままなんだそうです。
ところどころ苔むした場所があるのが、雰囲気バッチリです。(^ ^)
時間があったら「大門坂茶屋」で平安装束をレンタルして歩いてみるのもいいかもね。

全部で267段、約600mの石段。
杉並木のおかげで快適にのぼれた…けれど、やはり登りきった時には大汗。(゚ー゚;A(

ここからさらに数段のぼったところに休憩所があるので、ここでちょっとブレイク。
考えてみれば朝食もまだだったし。

(´〜`)モグモグ

エネルギーチャージも終わったところで熊野那智大社へ
休憩所(駐車場)からはお土産屋などが立ち並ぶ参道(石段)があり、土産物を見ながら上っていきます。

お土産屋などが立ち並ぶ参道を通りまだ登る

この階段の上が那智大社!大将、歩きスマホは危ないよ

473段の階段を上りきるとようやく那智大社に到着。 (o´Д`)=з

熊野那智大社は熊野夫須美大神(イザナミノミコトの別名)を主祭神とする「熊野十二所権現」を祀る。
このため「十三所権現」と呼びなわされている。
神社の創建は仁徳天皇の時代(317年)としているが、実際のところは定かではないらしい。


熊野那智大社拝殿
八咫烏(ヤタガラス)の像

社殿の奥には八咫烏が化身したとされる「カラス石」があるそうですが、公開されるのは1年に1度、春にだけなんだそうですよ。

まる子:あれ?ピッキー姿が見えないね。どこ行った?
Pi-子隊長:さぁ?その辺で写真撮ってるんじゃない?
ピッキー:おお〜い、こっちだ。

振り向くと御神木である大きな樟(くす)の木から出てくるところだった。

Pi-子隊長:御神木の中に入れるんだ。
ピッキー:入り口に護摩木があるから、願い事を書いて木の中(胎内)をくぐると願い事が叶うらしい。


願い事…もさることながら、穴に入れると聞いたら、行ってみなくては!
入り口で護摩木(300円)を購入し、GO!
いざ、御神木の中へ中は涼しくてちょっと神秘体験

樹齢800年の樟(くす)の木の中は空洞になっていて、外はかなり暑くなってきたというのに、中は不思議と涼しい。
いつまでもいたいな〜という気持ちだったが、人1人しか入れず、次の人が来たので、ハシゴをのぼって外に出る。
木の上もここだけ風が吹いてて、心地いい。

結局、全員胎内くぐりをしてから、隣にある青岸渡寺(せいがんとじ)へ。

4世紀頃、インドの僧が開山。
7世紀初めに推古天皇の勅願寺となり、平安中〜後期には那智山は観音浄土に見立てられ、多くの信仰を集めました。
それから時は経ち、戦国時代、織田信長によって焼き討ちにあいましたが、その後、豊臣秀吉によって再建され、現在に至ります。

なので、青岸渡寺の本堂は桃山時代の建築様式を伝えている建物であり、重要文化財に指定されているのです。
また、本堂の右側は広場からは三重塔と那智の滝のツーショットを撮影する絶好のスポットになっています。


青岸渡寺
三重塔と那智の滝のツーショット with青空

ピッキー:青い空をバックに朱塗りの塔と滝、なんて素晴らしいんだ!天気がいいと全然違うよ!
そうねぇ、今までグレーな空をよく見てきたからね〜。
しかし、それは私のせいでは無いぞ。

「三重の塔」のオリジナルは平安末期に建立されていたのだけど、前述の信長の焼き討ちによって焼失。
それから400年を経て、1972(昭和47年)に再建されました。
塔の二、三階は展望所になっていて、那智の滝がよく見えるのです。


三重の塔とバックに滝
鎌倉積石階段

三重塔から「鎌倉積石階段」と呼ばれている昔のままの階段を下りていく。
段差が不規則で歩きにくいのだけど、風情にある道(階段)です。

石段を下ると飛瀧(ひろう)神社の入口、そしてその横にバス停が見える。
マコ:暑くなってきたし、時間も押してるから、駐車場まではバスで行くでしょ?
Pi-子隊長:うん、そのつもりだね。
マコ:(バス停の時刻表を見ながら)だとすると、次のバスは30分後、13:01発だね。
Pi-子隊長:30分で滝の近くまで行って、バス停まで戻ってくるのか…できなくはないけど、ゆっくりはできないね。
マコ:でも、次だと13:51発になっちゃうから、だいぶ遅くなるよ。
Pi-子隊長:そうだね、ピッキーは写真撮りたいだろうけど・・・言っておいた方がいいね。


写真を撮りながら来たので、ピッキーが遅れてバス停前に到着。
Pi-子隊長:今から飛瀧(ひろう)神社へ入って、那智の滝の近くまで行くけど、バスの時間が13:00(じゅうさんじ)だからね、覚えておいてね。
ピッキー:うん、分かった。


飛瀧神社の鳥居をくぐって、那智の滝までは引き続き鎌倉積石階段が続く。
もっともだいぶ、こっちの方が整備されていて歩きやすいけれど。

石段を下ったところで那智の滝とご対面。
那智大社から、ところどころチラ見してたんだけど、近くに来るとやっぱり迫力が違うねぇ。


飛瀧神社(ひろうじんじゃ)の鳥居
近くで見る那智滝は迫力があります

この神社、滝の前に御賽銭箱があって、横に社務所はあるけど、本殿がない?
と思ったら、那智の滝自体が御神体であり、拝殿もなく、直接滝を拝むのだそうです。

まる子:あの展望台みたいなところへ行くともうちょっと滝の近くに行けそうだね。
マコ:社務所の前に「滝見台300円」って書いてあるから有料だよ。

さらに社務所には「滝見台までは片道2分」とご丁寧に時間まで書いてありました。

Pi-子隊長:値段も時間も大したことはないけど…(ちらっと時計を見ると12時45分)
ピッキー:時間あるんだし、行ってみようよ。
時間ある?普通にちらっと行ってパチリと写真撮るぐらいなら十分だけど、ピッキーの場合、三脚立ててじっくり写真撮る時間は…?
まぁ、本人がそう言うんなら行ってみようか。

300円払って、滝見台へ。
まる子:滝の近くには来られるんだけど、滝見台は滝に対して左側に設置してあるから、正面から見たければ、さっきの御賽銭箱の置いてあるところからの方がいいのかもね。
Pi-子隊長:でも、両方来られるから2度楽しめるよ。


みんな、携帯やらデジカメやらで撮影終了。
現在の時間、12時50分。
さっきの鎌倉積石階段を今度は登っていくわけだし、ちょっと早めに撤収しますか。
ピッキーはまだ三脚立ててじっくり撮影しているけれど、バスの時間はさっきも言ってるから、分かってるだろうし。

Pi-子隊長:そろそろ行くよ〜
ピッキー:え?何で?
Pi-子隊長:何で?って、バスは1時って言ったでしょ?ギリギリになって走って行きたくないし…
ピッキー:ウソ!?さっき3時(さんじ)って言ったから、オレ、まだゆっくりできるんだな、って思ったんだけど!?
Pi-子隊長:違うよ、13時時(じゅうさんじ)って言いました!
ピッキー:なんだよ、ようやく三脚セッティングして、これで撮影準備ができたと思ったら撤収かよ!
Pi-子隊長:じゃあ、ピッキーだけ、後からタクシーで来れば!?
まる子:まぁまぁ、ともかくバスの時間もあることだし、とりあえず片付けて行こうよ。

まる姐さんが仲介に入り、ピッキーもしぶしぶ三脚とカメラを片付けてバス停に向かった。

13時(じゅうさんじ)って言ったはずなんだけどな…?

(Pi-子)



(お役立ちリンク)
熊野速玉大社  熊野速玉大社の公式サイト。熊野三山の一社として全国に祀る数千社の熊野神社の総本宮です。
熊野那智大社  熊野那智大社の公式サイト。熊野三山の一社で、神仏霊場巡拝の道 和歌山三番です。