山梨トンネルハイキング
(大善寺→大日影トンネル遊歩道)


大日影トンネル遊歩道入り口(ワインカーブ側)


猿橋を渡り終えると車に戻り、さらに西を目指して出発。
行きに見た山梨方面への渋滞が気になったが、不思議と渋滞は解消されていた。
今回は不思議といい感じで流れがきている。

天気も・・・あ、あれ?フロントガラスに水滴が!?

マコ:あ、雨?今朝天気予報見てたけど、雨マークなんてついてなかったよ。
Pi-子隊長:太陽も見えてるからお天気雨じゃん?大丈夫だよ。

隊長の言った通り、数分で雨はやんだが・・・やっぱり雨のお導きなんだろうか?

この後も渋滞には遭わず、甲州市に到着。
まずは「ぶどう寺」と呼ばれる大善寺へ。
なぜ「ぶどう寺」なのか?・・・まぁ、その話は後で。

大善寺総門国宝の薬師如来堂

拝観料500円(大人1人)を払い、中へ入ると案内係(?)のお坊さんからお寺の説明を受ける。
お坊さん:遠いところよくいらっしゃいました。柏尾山大善寺は、真言宗智山派のお寺でして、薬師如来さまをご本尊におまつりしています。 また寺の縁起に由来した、国宝建造物、国の重要文化財の仏像等、沢山の寺の宝物があり、それらを御覧いただけます。では、こちらへ・・・

まずは須彌壇中央にある厨子(仏像舎利経巻などを安置する戸棚形の仏具)
なんと文和4年(1355年)に製作されたもので、厨子そのものが国宝になっている上、その中に安置されている本尊薬師如来像も国の重要文化財にもなっているそうです。
本尊薬師如来像は常は拝むことは出来ず、5年に一度のみご開帳され、お姿を拝むことが出来るのだとか。(次の御開帳は平成25年10月1日〜8日に行われます。)

厨子の前にあるのは日本で唯一ぶどうを持った薬師如来の像
寺伝では養老2年(718年)、行基が甲斐国柏尾山の日川渓谷で修行した時に、夢の中に葡萄を持った薬師如来が現われ、満願を果たし、葡萄を持った薬師如来像を建立したことが大善寺の始まりといわれています。
また甲州葡萄は行基が法薬として葡萄の栽培法を村人に教えたことから始まったともいわれていることから「ぶどう寺」と呼ばれているのです。

これら以外にも須彌壇の両側には鎌倉時代、仏師蓮慶により製作されたとされている日光・月光菩薩像、木造十二神将立像が安置されています。
いずれも国の重要文化財に指定されているのだそうです。

ピッキー:国宝とか重要文化財だらけですごいですね。
お坊さん:今、私たちのいる、この薬師如来堂も鎌倉時代後期から南北朝時代に建てられたもので、国宝になってるんですよ。

おみそれしました。m(_ _)m

堂内は撮影禁止だったので、皆さんにお見せすることができないのが残念です。

この他、新府城を落ちてきた武田勝頼一行が、こちらのお寺で一泊したという話も・・・
勝沼信元の妹で、武田信玄の従妹にあたる理慶尼(りけいに)は、その一部始終を「理慶尼記(武田滅亡記ともいう)」にまとめ、これは今も大善寺に保存されているのだそうです。

マコ:よく分からなかったけど、なにげにすごいお寺だったね。
Pi-子隊長:うん、私もぶどうを持った如来像のことぐらいしか知らなかったけど。

ピッキー:じゃあ、次はメインイベントのトンネルへ・・・あれ?駐車場はこっちだよ?

駐車場とは反対へ行くPi-子隊長に声をかける。
Pi-子隊長:あ・・・トンネルの付近に駐車スペースあるか分からないからさ。ちょっとここの駐車場に停めさせてもらおうかな〜・・・(←あまり大きな声で言えないので)
※注意:よい大人はマネしてはいけません

ここからは徒歩で大日影トンネル遊歩道へ向かう。
その距離約1kmといったところか。
距離は大したことないのだが、徐々に日差しも強くなり始め、なんて猛暑ざんしょ(残暑)

大将:ん?なんだこの像?「近藤勇像」だって。なんでこんなところに?
「近藤勇像」の足元にあった説明書きには「柏尾の古戦場」と書いてある。

慶応4年(1868年)鳥羽伏見の戦いに敗れた新選組は江戸に向けて進軍する新政府軍を迎え撃つため甲府に向かうが、時すでに遅し。
新選組の到着より早く、板垣退助を中心とする新政府軍が、すでに甲府城を占領していたのです。
甲府城陥落を知った近藤勇は、ここ勝沼の柏尾に陣を張り「勝沼ので戦い」が始まります。

しかし、新撰組は三百人余り、官軍は千人を超える大部隊で、戦闘はわずか一日で決着。
新撰組はあっけなく敗走してしまいます。

マコ:・・・自分がボロ負けした地に像を建てられるって、どうなんだろう?
Pi-子隊長:いいんじゃん、本人知らないし。だってこの像、新しそうだよ。
ピッキー:板垣退助より近藤勇の方が人気あるしね。

言いたいこと言いながら近藤勇像前を通過、ここからトンネルまでは緩やかな上り坂になっていたのは計算外だった。
昔は戦場だったが、今ではたわわに実ったブドウ畑を横目に歩く、歩く・・・

いい加減疲れてきた頃ようやく遊歩道に到着。
まる子:水欲しい〜
Pi-子隊長:トイレ行きたい〜
ピッキー:あそこに建物があるから自動販売機とトイレぐらいならあるかも。


大日影トンネル遊歩道入り口近くに駅舎を模したような建物があったので近寄っていくと、なんとそこの周りには駐車場スペースがあり、数台の車が停まっていた。
なんだ車でここまで来れたのか・・・CMじゃないけどやっぱり事前の確認が大事だな。

Pi-子隊長:はぁ、すっきり。
ピッキー:トイレはあったの?おれも行って来ようかな。
Pi-子隊長:トイレはあったけど、自販機はなかった。
ピッキー:この建物何なんだろうね?
Pi-子隊長:遊歩道の反対側にもう一つトンネルがあるじゃん。こっちはワインカーヴ、いわゆる貯蔵庫?業者や個人のワインセラーになっていて、 それの管理棟兼休憩所みたいだよ。


後で分かったことだが、近い将来、トンネルで熟成したワインの試飲販売を予定している場所だそうだ。
まる子姉さん、残念ながら我々は時代を先取りしすぎたようだ。

まる子さん他一同の乾きを癒せないままトンネル(遊歩道)に突入!
レンガ作りのトンネルでほぼ一直線、距離は1.4kmあり、パンフレットによると反対側まで普通に歩いて30分かかるようだ。
Pi-子隊長:トンネルを抜けると「勝沼ぶどう郷駅」だから自販機ぐらいはあるよ、きっと。
まる子:そうだよね。でも、トンネルの中は涼しくてよかった〜。
Pi-子隊長:鍾乳洞もそうだけど、トンネルの中も1年中同じ気温を保てるから、ワインの貯蔵なんかに適してるんじゃない。
まる子:そうよ、ワイン!出たら、次はワインの試飲だよね?

ワインセラーを前にして、ワインを飲めなかったまる子姉さんのおたけび(?)がトンネル中に響きわたる。

マコ:大将、その格好で寒くないの?
見ると黒のランニング1枚になっている大将。
大将:だって外が暑かったんだもん。寒くなったら着るよ。
Pi-子隊長:この場にはマッチしてるかも。なんかガテンな感じ?
ピッキー:さながら炭鉱夫?今日も掘るぜ〜・・・的な?


なんて話をしながらトンネルの見所を見落とさないように

  大日影トンネル遊歩道入り口とガテンな大将の後姿
  英国人技師の指導で作られた為、レンガの積み方は
  縦と横を交互に積む英国式になっている。
   トンネル内に入ったところ。昭和6年に電化される
   まで走っていた蒸気機関車の煙が煤(すす)となって
   壁や天井に付着している。



勾配標 線路の勾配の変更点に設置
       距離標 東京駅を起点とした距離を示し
       500mおきに設置されてます



       これぞまさに出口の見えないトンネルだ
       トンネル内の湧水対策のために造ら
       れた開渠水路(真ん中の溝)


数人で休憩がとれる大きな待避所
待避所はトンネル内に合計36ヶ所ある
     一時的に身をよせるための小さな待避所


沿線電話機 何かあればこれで外部と連絡がとれた ぽっつ〜ん タイトル「孤独」
   沿線電話機を設置した中規模の待避所


ピッキー:鉄橋だったら「スタンドバイミー」ができたんだけどなぁ。
鼻歌を歌いながら、リバー・フェニックスきどりで線路の上を歩いてみる。
トンネル内には平成9年まで実際に使用していたレールがそのままになっているのです。

1日に何両の電車が走ったことだろうか・・・レールの上はつるつるですごく歩きにくい

大将:バランスとるの難しいな、これ。
まる子:慣れると数歩ぐらいは歩けるようになるよ。

気づくとみんな童心に戻って線路の上を歩いていた。

ピッキー:途中で警笛がなったり、電車が迫ってくるなんて演出があったらさらに面白いのにな。
Pi-子隊長:US○とかディ○ニーランドじゃないんだから、んなもんあるかい!?


童心に戻って線路の上を歩いてみようさぁ、みなさん、ご一緒に!ダーリン♪ダーリン♪


しばらく線路の上を歩いてたり、歌ったり、踊ったり(いや、踊ってはいない by Pi-子)しているとぽつんと見えていたトンネルの出口が次第に大きくなってきた。
これにてゴ〜ル!!

全国に廃線のトンネルというのは数あると思うが、線路、勾配標、電話などを使用している時と同じ状態で残しているところはおそらくあまりないと思う。
鉄ちゃんもそうでない人も楽しめる場所だ。
普段は自然の洞窟を体験している我々だが、人間の作ったものも味わい深いものであると実感。

ゴ〜ル!!(勝沼ぶどう郷駅側)左が現役の大日影トンネル、右が今まで通ってきた遊歩道

また、このトンネル遊歩道への入場は無料(ただ)という粋な計らいをしてくれている甲州市に感謝。
もっとも、JR東日本から無償で譲渡を受け、国土交通省からの「まちづくり交付金」で整備したということですが。

(ピッキー)




(お役立ちリンク)
ぶどうの寺 大善寺
甲州ぶどう発祥の地「大善寺」の公式サイト。文化財の説明があるので読んでから行けばなお興味深いかも
甲州市観光案内所
読んで字の如く甲州市観光案内所のサイト。登山情報、宿泊施設やイベント等の観光情報が紹介されています。