筑波山 後編 (Mt.Tsukuba)
2002年8月

筑波山 奇岩・奇石

弁慶七戻り

高天原

北斗岩


ねじきも冷たい飲み物を買って一休み。
お店のおじさん:だいぶ疲れているみたいだけど、ここから先はさほどきつくないし、奇岩、奇石が見れておもしろいよ。
ねじき:そうなんですか…よかった。きつくないんだ。

Pi-子も内心、ほっ

さて、体力を少し回復させたところで出発。
再びねじきをどつきながら歩き出す。

お店のおじさんは「さほどきつくない」と言っていたけど…いやぁ、まぁ、白蛇弁天〜お茶屋さん間よりはましだったけど…


(陰陽伝説参)五穀豊穣の知と気 裏大黒

この奇石が豊穣や福徳が入った袋を担いだ大黒様の後ろ姿のように見えることから裏大黒と名づけられました。
ここを訪れた人々はこの石に五穀豊穣を祈り、そのエネルギーを吸収しようとしたのです。


奇岩・奇石を越えていくと何かの建物が見えてきた。
そこから、いきなり人・人・人…何で?
…と疑問に思うまでもなく、そこはケーブルカーの駅。筑波スカイラインからケーブルカーに乗れば一気に、ここ、頂上まで来れるんだ。

正確に言えば筑波山、女体山の頂上。
筑波山には女体山と男体山と2つ頂上があります。女体山は877m、男体山は871mで、女の方が少し背が高い。
そして、その高いほうの女体山へ何の苦労もしないで登ってくることができるんです。
(男体山は少しだけど歩いて行かなければ行けない)

女体山頂上へ行くと、すごい人
下の筑波山神社の一画を切り抜いてきたようだ。
しかもこの山頂、岩場だから人がいっぱいいると怖いんだよね…押されて落ちたら、間違いなく死ぬよ。

持参したお弁当(おにぎり)をどこで食べようか散策するが…

Pi-子:女体山頂上は人がいっぱいだから御幸ヶ原の方へ行ってみようか。
ねじき:御幸ヶ原?ああ、ケーブルカーの駅のある広場みたくなっているところね。小学生の時、遠足で来た時にもあの辺でお弁当食べたような…。 あの時はこんなきつい山だと思わなかったんだけどなぁ…。


女体山頂上から御幸ヶ原へ向かって歩く。
この辺はロープウェイかケーブルカーで来ている人もいっぱいいるぐらいだから、急な勾配も何もない。
別に迷子になるわけでもないが、ふとマップに目をやると…。

Pi-子:あ、通り過ぎちゃった。ねじき、ちょっと戻るよ。
ねじき:何で?
Pi-子:陰陽ポイントその四「ガマ石」を通りすぎちゃった。さっきの人だかりの所がそうだと思う。


ほんの数十メートル引き返すと…ありました、これぞ筑波山のガマ蛙


(陰陽伝説四)創業成就の知と気 ガマ石

筑波山名物「ガマの油」「ガマの油売り口上」
「さあさあ、お立ち会い…」という出だしが有名な油売り口上。
ガマとはヒキガエルのことだけど、ただのガマ蛙じゃなくて四六のガマ(前足の指が四本、後足の指が六本あるという蛙)を捕まえて鏡張りの箱の中に入れる。すると… 「四六のガマは鏡に映った自分の姿を見て驚き、油汗を流す、この油汗をトロ火にかけ、柳の小枝をもって三七二十一日間、煮つめましたるがこのガマの油。 このガマの油の効能は、ひびにあかぎれ、しもやけの妙薬…」
どんな傷もたちどころに直してしまう不思議な軟膏、と続き、ハイライトで自分の腕を切り(切るフリ?)、ガマの油を塗ると「あら、不思議!?」 ぴたりと血がとまるのであります。

「ガマの油売り口上」を考え出したのは筑波山麓永井村の兵助という男。
野心家で、村を飛び出し、江戸に出て一攫千金を夢見たが、思うようにはいかなかった。
何とか開運御利益を得ようと筑波山をさまよう兵助は、山頂近くで真っ赤な口を開けた大きなガマにいくてをふさがれてしまいます。
驚き恐れた兵助でしたが、ガマは一向に襲ってこない。つぶっていた目をそっと開けてみると、それはガマ石に夕日が映えているに過ぎなかったのです。 兵助がガマ石の前で七日間座禅を組み、不眠不休で考え出したのが「ガマの油売り」の口上。
その後、ガマの油は売れに売れ、兵助は大金持ちになったと伝えられています。

ガマの油は、本当はガマ蛙の油汗ではなく、ヒキガエルの目の上にある小さなコブから出てくる分泌する乳白色の液を膏剤にまぜて練った もの、だそうです。


でもって、このガマ石も、本当はガマ蛙ではなく龍石
尻尾が霞ヶ浦まで言い伝えられていますが…どう見てもみごとなカエルに見えるんですけど…。

後で聞いた話ですが、ガマの口に石を投げて、うまく乗っかると良いことがあるとか。



御幸ヶ原で昼食をとり、エネルギーを補充した2人は次の陰陽ポイントに向かって歩き出します。

Pi-子:残るは3つ。ここまで来ればあとは楽勝だよ。
ねじき:地図を見るとたいした距離じゃないしね〜

…と思ったのだが、問題は距離じゃなかったのだ。

登山道を歩いていくと


「陰陽伝説をたどる筑波山開運御利益ハイキング」 御海(みうみ)こちら→


という紙を持った係員のお兄さんを発見…しかし、こちら→の矢印の先は登山道ではなくて"けもの道"なんですけど…
しかもぬかるんだ急斜面…見るからに滑りそう…(-o-;)

ハイキング参加のおばあさん:ここから御海まではどうやって行くんですか?
係員のお兄さん:道なりに行けば行けますよ。
ハイキング参加のおばあさん:
(けもの道を見て)はぁ…ここを…
係員のお兄さん:たいへんですから無理に行かなくてもいいですよ。行ったことにしてこれは差し上げます。

お兄さんはおばあさんに陰陽ポイントを訪れた証となる、由来を説明したカード(全ポイントで一枚づつもらえる)を渡した。

このやり取りを見ていた数人はおばあさん同様にカードをもらって次のポイントへと向かった。

ねじき:…どうする?
Pi-子:行ってみて、ダメそうだったら引き返そう。


キツいというわけではないのだけど、急斜面で道が狭いものだから、人とすれ違う時はスリル満点
登山道からの距離はないんだろうけど、めちゃめちゃ遠く感じられる

しばらく行くと…あれ?行き止まり?
行き止まりに見えるところに人がたまっている。

道を間違えたのかな?…でも1本道だし、間違えようがないんだがな。
Pi-子:すみません、御海はこちらではないんですか?
手近にいたおばさんに話しかけてみる。

おばさん:いや、こちらでいいと思うんですけど、ここは1人ずつじゃないと通れないものですから、渋滞しちゃってるんですよ。
こことは?
おばさんの視線をたどっていくと…
行き止まりと思えた崖…そこに1本のロープが下げられていて1人のおじさんが下りていた。

これでもハイキングかい!?

ねじき:…どうする?
Pi-子:ここまで来たら行くしかないでしょ。

御海を見なければ何のためにここまで来たのやら。
順番を待って、ロープで下りる。

ずずず…ずずっ、ずっ…
やってみると楽しいもんだ(^o^)v  しかし、ここでPi-子名誉の負傷
ロープをぎゅっと握り締めていたので、摩擦でケガをしてしまったんですね。
軽く握ればよかったんだ、と学習。

御海という名前からすると、冷水(霊水)がこんこんとわき出ている泉があるに違いない…と思ったのだけど、泉?どこ?

おじさん:これが「御海」か、なんだ、水溜りだな。
おじさんの言った通り、目の前の水溜り…これが「御海」!?


(陰陽伝説五)延命長寿の知と気 御海の水

1200年前に名僧徳一大師によって発見されたと言い伝えられています。
これを飲めば延命長寿になると言われている霊水です。


飲めば…ってねぇ…
柄杓とロートが置いてあったが、岩場から流れている水は「チョロチョロ」で柄杓いっぱいになるまで水をためていたら、ブーイングが きそうなのでやめる。
う〜ん、白蛇弁天〜お茶屋さん間で見た湧き水の方がよほど水量があったような…

ありがたいモノにケチをつけては開運御利益が期待できないので、気を取り直して次へ向かおう。

「御海 こちら→」と書いた紙を持ったお兄さんのいた所(登山道)まで戻り、次なるポイントへ向かう。

御海までの道を体験した後のせいか、次の立身石までは苦もなく到着。


(陰陽伝説六)出世開運の知と気 立身石

「青雲の志あるものが祈れば、必ず成功する」と信じられている高さ5mを超える巨岩。
筑波出身のカラフト探検で有名な間宮林蔵も探検前に祈願に訪れ、成功を祈りました。


さて、最後のポイントとなりました。
筑波山大御堂(おおみどう)、場所は…と。筑波山を下りたところだ。

問題は、どうやって山を下りるか…御幸ヶ原からケーブルカーが出ているが、せっかく自力で登ってきたのだから、下りも自力で…
ねじき:ケーブルカーで下りようよ、ね、ケーブルカー!
Pi-子:う〜ん、汗もかいたし、温泉でゆっくりするならケーブルカーの方がいいかもしれないけど…。 ちょっと聞いてみようか。

Pi-子:すみません、このケーブルカー沿いの下りってどうですか?勾配とか急ですか?
係員:そうだねぇ〜…行きと同じか、それよりもっと滑りやすくて、急な道だと思うよ。
Pi-子:…ねじき、ケーブルカーで下りようか。


歩けば約80分かかるというのに、ケーブルカーではたったの8分。
いや〜、文明の利器ってすばらしいっ

7番目のポイント大御堂へ行くと、先にゴールした人々が冷たいお茶を飲んで休んでいた。


(陰陽伝説七)安寧繁栄の知と気 大御堂(おおみどう)

平安時代、中善寺という名前で、奈良から徳一法師が来往し、開創された建物です。
明治までは神仏習合で筑波神社と大御堂一体の山岳宗教霊場で栄えたのですが明治政府の廃仏毀釈により堂塔伽藍すべて破壊され、神社のみ存続しました。
昭和5年になって、やっと大御堂だけ再建されたが、昭和13年の山津波で倒壊し受難続きで数奇な運命の中をたくましく現在まで生き抜いてきているお寺です。


皆さんもお寺も、お疲れ様でした。

大御堂では我々も冷たいお茶をもらって一休み。

休んだ後はTシャツの色が変わるぐらいかいた汗を流したいぞ!
ということになり…ましてやここには温泉があるしぃ〜。

いくつかある温泉旅館の中から「青木屋」さんに決定。
いや、ほら、筑波といえばガマガエル、カエルといえば…(少年マガジ○「はじめの一○」参照)

温泉で汗を流した後は再びバスで土浦駅へ。



ねじき:…結局、疲れただけで何も開運御利益がなかったような気がするんだけど…
Pi-子:…これからじゃん?そう思おうよ。
ねじき:そうでも思わないとやり切れない気がするよ。


ちゃり〜ん、がらん、がらん…ぴ〜、ぴ〜、ぴ〜…
自動販売機で切符を買うねじき。

ねじき:おおっ、おつりが10円多い!
Pi-子:ええっ、そんなことってあるの!?…まさか、これって御利益なんじゃ?
ねじき:10円?あれだけ苦労して御利益ってこの10円なの!?どうせなら宝くじで1億ぐらい…
Pi-子:いや、1往復で10円だから、1億の御利益を受けるには1000万回往復しないといけないんじゃん!

ぱたり

あ、「1000万回往復」って聞いてねじきが死んだ。



後日

しずる:筑波山開運御利益ハイキングはどうだった?
Pi-子:いや〜、ハードで面白いハイキングだったよ。ハイキングって言うより山登りだったけど。
しずる:安部晴明ゆかりの場所とかってあったの?
Pi-子:安部晴明?ああ、そういえばパンフレットに「安部晴明が筑波山で修行した伝説がある」って書いてあったけど ゆかりの場所がなかったから、やっぱり伝説じゃん?
しずる:なんだ。で、謎解きは?
Pi-子:謎解き?…体は使ったけど、頭は使わなかった気がするんだが…
しずる:結局、体力勝負だったわけね。


う〜む、おっしゃることも一理あるようで…低い山だからといってナメちゃいけません、筑波山。

(Pi-子)